デュラン・デュランが語る名曲の再解釈、アンディ・テイラー復帰の可能性「席は空いている」

 
名曲の再解釈、マネスキンのヴィクトリアについて

ー「Paint It, Black」に対しては、どのようにアプローチしましたか? あなたとミック・ジャガーとは、かなりかけ離れたタイプのシンガーだと思いますが。

LB:確かにミック・ジャガー・タイプとは言えない。オリジナルを聴いていて、ミックがシタールのリフをなぞって歌っていることに気付いたんだ(と言ってル・ボンは、シタールのメロディラインを歌って聴かせた)。メロディのしつこい繰り返しが、「世の中は全てが酷く、全てがブラックだ」という、やる気のない典型的なティーンエージャーに通じるものがあった。もちろん、今さら10代に戻ることはできない。だから「俺だったらもう少し、明るく元気なバージョンにできるのではないか」と考えた。ヒステリーの一歩手前のバージョンだ。そして、メロディと歌詞にも少し変化が必要だと考えた。

まずはメロディに手を加え、それから歌詞の譜割りを工夫した。歌詞の変更には、オリジナル曲を作ったアーティストに確認を取る必要があるから、しばしば問題にぶつかることがある。しかし俺たちは、許可を得られた。



ーミックが、あなたの書いた新たな歌詞を認めたということですか?

LB:会社を通じて許可を取ったんだと思う。誰がどう許可を取ったのかは知らないが、とにかくアレンジが認められた。

マスティク島かどこかで休日を過ごすミックとばったり出会って、「僕の“Paint It, Black”の凄まじいバージョンを作ったのは君か。いったい何てことをしてくれたんだ?」なんて言われたら最高だな(ル・ボンは、ここで大笑いが止まらなかった)。

ストーンズは、自分たちの作品を第三者が発展させることにとても寛容なバンドだと思う。俺たちのバージョンがオリジナルを超越するなどとは、一瞬も思わない。完全に別物だ。曲に何か手を加えると、新たな生命が吹き込まれる。俺たちは曲をカバーするにあたって、常にそういうスタンスでやっている。

俺が「Paint It, Black」に持ち込んだのは何かと言うと、パティ・スミスのアティテュードさ。

ーそれは納得が行きます。彼女もまた、ミック・ジャガーの大ファンです。

LB:俺はずっと、パティ・スミスの大ファンだ。いろいろな人から影響を受けたが、パティ・スミスが最高さ。

ーソロアルバムでは、彼女の作品をカバーしたらどうでしょうか。

LB:おぉ、そうだな。「Barefoot Dancing」なんかがカバーできたら最高だね。

ーオリジナル曲に忠実な形でカバーしたことはありますか?

LB:たぶん「Spellbound」は、オリジナルに近いんじゃないかな。俺たちにとっては聖域のようなものだった。

ースージー・スーの「聖域」をカバーしたのはなぜでしょう?

LB:俺から見ると、彼女は天国に近い存在さ(とル・ボンは、言葉を止めて笑った)。彼女が死に近いという意味ではなく、彼女が聖人のような存在だということさ。俺はパンクに大きな影響を受けた。パンクというジャンルの中で、彼女は最高の存在だったし、今でも最高だ。彼女が今なお現役でプレイしてくれているのが、とても嬉しい。「Spellbound」は、素晴らしい曲だ。「魅了され、酔いしれて、踊って、踊って、踊りまくる」って感じさ。




ー「Paint It, Black」と同様に「Super Freak」(リック・ジェームス)にもアレンジを加え、あなた方のアルバム『Rio』に収録された「Lonely in Your Nightmare」と合体させています。

LB:この2つの曲のベースラインには、常々共通点を感じていたんだ(と、下降ベースラインを歌う)。「Lonely in Your Nightmare」と「Super Freak」に共通する要素だ。ちゃんと形にする何年も前から、遊びでやっていたことだ。ジョンは、2つの曲を何とか繋げられないか考えていた。当時はまだライブなどで披露できるレベルではなく、サウンドチェックやスタジオで試していただけだった。今回は、2曲を相互に融合すべく取り組んだ。




ーファンキーなベースと言えば、ヴィクトリア・デ・アンジェリスが「Psycho Killer」に参加した経緯を教えてください。

LB:これは、ベーシストであるジョンのアイディアだった。彼は「ヴィクトリアに意向を聞いてみたい」と言った。すると彼女は了解してくれた。彼女のベースももちろん素晴らしかったが、「アイ、アイ、アイ、アイ、アイ」というコーラス(ル・ボンが歌ってみせる)も、本当に抜群だった。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE