edhiii boiが語る、変幻自在のスタイルとビートチェンジで描き出すリアリティ

自由な発想を司るマインド

―edhiiiさんのルーツにあるロックやヒップホップの要素も取り入れられていて、その上で音楽的なルールとかを超越し、自由を求める精神性を表現するハイパーホップが、「誰の真似もしたくないし誰にも真似させない」というスタンスを大事にするedhiiiさんに合っているなと思います。ここからは1曲ずつ聞かせてください。まず「GALAXY」。やばいですよね、最高傑作じゃないですか?

edhiii boi:(笑)。デモの段階でこんなに言葉数はなかったんですけど、めっちゃ詰めました。ビートを聴いた瞬間にプレイボーイ・カルティみたいなUSのヒップホップサウンドだなと思って。そこで日本人が変に海外の真似をしたノリで歌っちゃうとダサいなと思ったので、スキルで見せるしかないかなと。余裕を持ったフックって、気持ちいいんですけど、日本語でそれをやることを僕は想像できなかったので、今の日本のヒップホップっぽい詰め方とかフロウを意識して作った感じですね。変幻自在に変わっていく声の使い方も、自分にしかできないものができたかなと思います。ビートチェンジするところも、自分がやりたかったことがやっとできたなという感じがします。



―しかも、たとえば「雨音が入ったあとはこういう感じでくるかな」みたいな想像とかも、全部裏切ってくる。“唯一無二の声とスタイルでジャンルを超えて”“俺がしたくてする事は教科書には載ってない”とか歌っていることと作っているものが一致していて、めちゃくちゃかっこいいし説得力のある曲になっていると思いました。ここまで大胆なビートチェンジをするトラックは、どういう発想からできたのでしょう。

edhiii boi:Yenyenさんと一緒に曲を作りたいと言った時に、デモのビートが30、40個くらい届いて、選びきれなくて、とりあえず候補を出そうと思ってつなげたんですよ。それを流して聴いた時に、「これはビートチェンジしたほうがかっこいいかもな」と思って。最初3曲分つなげていたんですけど、僕のほうでそれを書き出す時に重すぎてパソコンが止まっちゃって(笑)。「2曲だったら書き出せます」って言って、2曲になりました。(雨音の)つなぎも自分で作って送ったもの、そのままですね。バースは言葉数が多いから難しくて(レコーディングで)苦戦したんですけど、フックはスムーズに録ることができました。いい曲ができたなって自分で思いますね。

―edhiiiさんとしてはビートチェンジを取り入れることで、楽曲にどういう面白さが生まれると感じていますか。

edhiii boi:世界観を一気に変えられる。自分の中のいくつものキャラクターを見せられるので、いい方法だなと思いますね。「歌」じゃなくて「音」でどれだけ遊べるか、というのもありますし。あとは単純にかっこいいから。日本でやっている人はまだそこまでいないかなと思っていたので。逆に海外の音楽を聴くと、当たり前になっていたりするじゃないですか。だから今のうちにやっておかないと、5、6年後とかにやったら遅いだろうなと思ったので。やっぱり僕はプレイボーイ・カルティがすごく好きなので、やりたい感じができたかなという気がします。

―2曲目「Uiteru」も非常にユニークなトラックですけど、☆Taku Takahashi(m-flo)さんとどういう会話があって、これができあがったのでしょう。

edhiii boi:☆Takuさんのスタジオに入って一緒にセッションして。最初、空想の世界みたいな歌詞を書いていたんですけど、みんなに見せたら「世間が聴いた時に、こういう若いラッパーがいるらしいよ、ってなるようなリリックを作ったほうがいいよ」というふうに言われて書き直したんです。それを書いているあいだに、最初の歌詞にあった“浮いてる”という言葉で☆Takuさんが遊んでくれて、サビはそれを残したいとお願いしました。あとは“Oh Youを連れ出すNight”のところでシーンを変えたいということと、ラストは絶対にピアノで終わりたいということが自分のリクエストでした。めちゃくちゃ激しいのに最後いきなりピアノで終わる、ハイパーポップの曲をSoundCloudで聴いたことがあって。ブワーッて激しいのに、ピアノになった瞬間、ふわっと気持ちよくて、トンネルから抜け出した気がして。その衝撃を忘れずにいて、いつか自分の曲でやりたいなと思っていたので今回しかないかなと。


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