音楽評論家・田家秀樹が語る、Mr.Children21枚目のアルバム『miss you』

静かな伝説 / 竹内まりや



流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

音楽を語るときに今、1番重要視されるのがメンバーが何を語っているかですよね。本人がどう思ってこの曲を作ったのかということが、まず最優先される。今回はメンバーのインタビューがなかったり、事前の情報がなかったりして、聴き手に任されている。僕らにとってはある意味では聴き甲斐のあるアルバムではないかなと思ったりもしてます。例えば、Mr.Childrenで言うと、桜井さんがこう言ってました、桜井さんがこの曲はこうだと話していますということが、その曲の正解になっていっちゃうわけですね。でも、さっきの曲のタイトルを使えば、アートは100人の聴き手、100人の見る人がいれば100の答えが生まれてくるものだし、そうあっていいんだと思うんですね。100通りの聴き方がある、受け止め方がある。今回そういう1つの正解を誰も提示してくれてないので、その人が思ったことを自分の考え方はこうです、僕はこう思いましたということが自由に言えるのではないかあらためて思いました。

今回この特集は「全曲解説」じゃなくて「全曲感想」としているんですけども、あとは聴いた人が判断してくれればいいということで、そういうふうに誰も語らない、あまり情報を流さないということなのだとしたら、これはみんなで考えましょうよ、みんなで聴きましょうよ、みんなで語りましょうよというのが今週、来週の趣旨でもあります。

アルバムの発売が10月4日だったのですが、ツアーは9月16日からスタートしているんですよ。僕は12月の大宮ソニックで観るつもりで、大阪のフェスティバルホールも12月16、17日でずっとやっているわけですから、ここで桜井さんが何を語っているんだろうという興味はありますね。新曲として披露してきたわけで、そこで次の曲はという話は当然するでしょう。つまり、分かってくれる人に分かってもらいたいということでこういう形になっているのでしょうが、あなたはどんなふうに受け止められているんでしょうね。僕はこんなふうに思いましたという話を来週も独り言喫茶で語ってみようと思います。

【後編】聴いている人の身近にあるアルバム、Mr.Children21枚目のアルバムに迫る



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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