アンドレ3000が語る、フルートを手に歩む探索の旅、変わらぬ遊び心

アンドレ3000

アウトキャストと言えば、6度のグラミー賞に輝き、ジャンルの壁を越えて、90年代から2000年代にかけて頂点を極めた、伝説のヒップホップ・デュオだ。

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その一人であり、俳優としても活躍するアンドレ3000(André 3000)が、アウトキャストのラスト・アルバム『Idlewild』以来、17年ぶりとなるアルバムをリリースした。初のソロ・アルバムとなる『NEW BLUE SUN』にはラップもなければ、ボーカルも入っていない。アンドレ3000がフルート奏者として、カスタム・メイドのエレクトロ・フルートをメイン楽器としてプレイした、インストゥルメンタル作品なのだ。共同プロデュースをしたのは、LAのキーパーソンであるカルロス・ニーニョ。ニューエイジ、アンビエント・ジャズ、フリー・インプロヴィゼーション……ジャンルは何であれ、その美しいサウンドスケープは、瞑想的でスピリチュアルな音楽の旅となっている。

ー今年の春は日本にいましたよね。SNSではアンドレを目撃したという写真がアップされていました。ラッパーのZEN-LA-ROCKもアンドレと一緒に撮った写真を上げていましたよ。

アンドレ3000 マジで!?(笑) たぶんだけど、SNSでバズった映像と同じストリートで撮ったんじゃないかな。



ー日本での滞在はどうでした?

アンドレ3000 最高だったよ。また日本には行きたいね。たぶん3月には行けるんじゃないかな。

ーSNSで上げられた写真を見ると、大きなフルートを持ち歩いていましたね。

アンドレ3000 休暇で2週間いたんだ。フルートは常に持ち歩いてるから、日本にも持っていったんだ。

ーフルートをプレイするのにお気に入りの場所は見つかりましたか?

アンドレ3000 僕が日本にいた時は雨がよく降ってたね。雨は好きなんだ。京都に行った時は神社や禅寺を訪ねていったんだけど、中でフルートをプレイしたかった。当然それは許されなかったから、雨の中、外を歩きながらプレイすることにしたんだ。そこから電車に乗って大阪に向かい、直島まで船に乗って行ったんだけど、船の中でプレイしたフルートは最高だったな。いつだって日本に行くと、大きなインスピレーションがもらえるんだ。電車に乗ってもいろんなことを考えられるし。自分のアイデアをたくさんチャージできるんだよね。日本を離れる頃には僕のスピリットも喜んでいたよ。

ー『NEW BLUE SUN』を聴いた時、もちろん驚きもあったのですが、なるほどと思った部分も大きかったんです。僕自身、ヒップホップ、パンク、ストリート・カルチャーで育ちましたが、自分の内面のスピリチュアルな部分にフォーカスするようになってからは、音楽に求めるものも変わってきたので。『NEW BLUE SUN』はごく自然に楽しめましたね。

アンドレ3000 楽しんでもらえたのならうれしいよ。そこは僕も同じだ。僕もラップ、パンク、エレクトロニック・ミュージックを聴いて育ったけど、今の僕はより静けさのある音楽を好きで聴いてる。もちろん今もラップは好きで聴くけど、ほとんど車の中でしか聴かないからね。

ー管楽器に魅せられたのは何故でしょう? 最初のきっかけは何でした?

アンドレ3000 一番最初が何だったのかは覚えてないけど、元々管楽器のサウンドが好きなんだ。僕がミュージシャンに目を向け始めた時、ジャズとファンクの音楽には管楽器が多く使われてることに気がついてね。大好きな曲は、サクソフォーン、バスクラリネット、フルート、クラリネットといった管楽器が入った曲が多かったんだ。それでクラシック音楽も聴いてみると、フルートやピッコロなどの管楽器の曲もあるから、そういうのも大好きになった。アウトキャストの制作をやってた当時から、そういう音楽を楽しんで、どのミュージシャンがどの楽器をプレイしてるのかをチェックしながら、管楽器に対する知識を深めていったよ。それで音楽制作をしていく中で、自分でも楽器を使うようになって。ベースギター、ギター、キーボード、管楽器といろいろトライする中、管楽器は簡単に持ち運べるところが気に入ったんだ。ピアノだとどんなに好きでも持ち運べないからね(笑)。

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