アンバー・リウが語る、f(x)で磨いたクリエイティブ精神、自分自身のための音楽

「私たちは常により良い音楽を作り続けたいと思う」

ー2015年に初のソロ・アルバム『Beautiful』をリリースしますが、f(x)時代からソロ活動のアイデアは温めていました?

音楽はずっとやりたかった。グループからソロになって、俳優、ミュージカル、MCの道に進む人もいるけれど、私にとっては音楽だけがずっとやりたいことだった。だからソロで音楽をやりたいってなったのはごく自然なことだったと思う。難しい決断ではなかった。

ーそこから今に至るまでの音楽の旅はどのようなものでした? それは同時に自己発見のプロセスでもあったと思いますが。

最大の変化は、自分自身のために音楽を作るようになったことだと思う。自分勝手に聞こえるかもしれないけれど、これは私にとって必要なことだった。少し話を戻すと、昔はレーベルから期待されてたから、私はその期待に応えようと思って曲を作ってた。私はアーティストなのに、ちょっと後ろ向きだったのかな(笑)。とにかく私は誰か他の人を喜ばせようと思って音楽を作ってた。ただ、当時の私は他のアーティスト、他のレーベルのためにも曲を作ってたから、そのマインドはごく当たり前のことでもあった。でもソロ・アーティストとして活動していくうちに、ゆっくりではあるけれど、私は何が言いたいのだろう?って考えるようになって。デモを作ってる時も、歌詞を書いて、しばらくしてからまた歌詞に取り組むと、何これ?ってなってしまって。それで時間をかけて、自分のメッセージが明確になるまで、納得がいくまで歌詞に取り組むようになった。でもそれって、何よりも自分を喜ばせたいからで(笑)。

「hatemyself」という曲を作った時、この曲の音はピアノがメインで、シンセサイザーが少しとビートのキックとギターだけなんだけど、ミックスを20バージョンも作ってしまって。プロデューサーとエンジニアには悪いことをしたと思ってるけれど、「バージョン20がいいけど、バージョン15の要素も入れてくれない?」って感じで、何度も何度もやり直して。それでも彼らは完璧に理解してくれたし、そのプロセスも楽しいものになった。私もプロデューサーも過去に出した曲を聴いて、あそこはこうした方が良かったとか、ここにこういう音を入れておけば良かったとか、そういうことを言い出したら止まらなくなってしまうタイプで。でもそれって完璧主義者のマインドだから、決して満足することがなくて。だからこそ、私たちは常により良い音楽を作り続けたいと思うし、自分たちとしても常にチャレンジし続けたいと思ってる。



ーMVにも注目しているのですが、例えば「No More Sad Songs」のMVでは、ダンスを大きくフィーチャーしていて、曲自体は決してハッピーなものではないですが、MVには楽しさもあって、曲とMVのバランスが絶妙だと思いました。

曲を作る時に頭の中にビジュアルが浮かぶことが多いから。「No More Sad Songs」のMVでは、私のリアルな姿をビジュアルで見せたいというのがまず最初にあった。あのMVは、メインのシーンをサンタモニカで撮影したんだけど、ディレクターがいきなり「今すぐここでダンスしましょう」って言い出して。ダンサーたちも、「アンバーならできる」って言うから、エッ?!ってなって。めちゃくちゃたくさん人がいる中、自分はダンサーとして自信があるわけでもなく、時間もなかったから、とにかくやるしかないって感じだった(笑)。たくさん人がいる中でダンスをして、みんなから見られてるわけだから、恐ろしかったし、自分の自信をつけるという意味でも大きなチャレンジになったと思う。

ー「Dusk Till Dawn」のMVでもダンスをフィーチャーしていますよね。

「Dusk Till Dawn」のMVは、コリオグラファーやダンサーと長い時間をかけて、お互いが気持ち良くできるところまで追求してみた。それで、実際にはダンスよりも話す時間の方が多くなって、感情のレベルでもみんなと同じ考えを共有して、何をすべきかをたくさん話し合うことになった。演技も多かったので、自分がそのキャラクターになりきるのは良い勉強になった。「Dusk Till Dawn」の脚本は3ヶ月かけて作ったんだけど、何度も書き直して、友達の意見も聞きながら、それも反映して作っていった。今私が作ってる音楽ではリアルな自分を反映したいというのが大きくて。今の私が前よりも良いところにいるというのを、みんなと共有していきたい。今の私は頭もクリアになったし、力強くもなれたから、めちゃくちゃ落ち込んでたことも、悲しいことも、すべてをみんなと共有したいと思ってる。



ー「Amber Liu No More Sad Songs Tour 2024」ですが、すでに1月はアメリカとロンドンを回っていますよね。ツアーの手応えはどうですか?

めちゃくちゃ楽しんでる。このツアーを通して、アーティスト、パフォーマーとしてのアンバー・リウを見せていきたい。あるショーでは、ファンが私を目の前にしてジョークを言って、私も言い返して、ファンも私に言い返してきた。私はそういう関係ができてるのがうれしいし、ファンのことを知る良い機会になってるのもうれしい。日本のファンからは何年も待ってるという話が来てるから、みんなにまた会えるのが楽しみだし、みんなのヴァイブスを感じたい。(日本語で)会いたかったです!



ー「EASIER (feat. Jackson Wang)」の日本語バージョンは披露しますか?


この前、日本語バージョンをサウンドチェックの時に遊びで歌ったんだけど、うちのダンサーが高校時代に大阪にいたらしくて、「発音、いいね!」って言われて、YES!!ってなってたの。今度の日本で初の披露になるかもしれない。



<INFORMATION>


Amber Liu No More Sad Songs Tour 2024
2月20日(火)
東京:ザ・ガーデンホール(恵比寿)
OPEN 18:00 / START 19:00
https://www.livenation.co.jp/amberliu2024

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