BREIMEN・高木祥太とガリガリガリクソンが語る、「キャラ」と「商売」からの解放

カレー屋でタダ働きして
スピッツの楽屋でカレーを作る

ガリ 休みの日はなにしてるんですか?

高木 休み……。忙しいアピールとかじゃなくて、俺、今年結構やばくて。フェスだったり、休みがあっても「曲作らないとな」と思うと休みじゃないような。だから今「休みなにしてる?」って言われてドキッとしました。休みの日、なにしてます?

ガリ ほとんど休みやから。

高木 あ、そうか。

ガリ 飲みに行ったり、週末は大阪にいないようにしたり。こっち(東京)に来ていろんな人と遊んだり。たとえば2日間東京で遊ぶってなったときに、「何時から何時まではこの人と遊んで、こことここは会わせて時短しよう」みたいな。

高木 遊びに本気な人ですね。

ガリ 僕、移動と時間とお金を言い訳にするのが嫌で。「遠いから行かへん」「お金ないから行かへん」っていうのが嫌。たとえば「ツアーで鹿児島行ってるけど、明日来ない?」とか言われたら行っちゃうタイプで。

高木 「ガリガリガリクソン」のキャラの対極にいる人かもしれないですね。

ガリ そうそう(笑)。僕、奥田民生さんが好きで、「広島の母校で挨拶する。来るよな?」ってなったときに、あの人は新幹線で移動するのに僕だけ車で行って(笑)。しゃべってるときに、ギターを持っていく役をしたり。

高木 民生さんのライブでガリさんがテックとして出てくる(笑)。めちゃくちゃ面白いですね。

ガリ あとは、カレーを作るのが好きで。なんでかっていったら、アーティストの人って、大阪行ったらカレーを食べたがる。でも「リハとかあるし行く時間ないねん」という話になって、「じゃあ、僕、レシピ盗んできます」って、カレー屋で「お金いらないんで働かせてください」と言ってレシピをもらって、楽屋ケータリングをしたり。

高木 え、すご! 楽屋ケータリング行ってるんですか? どのバンドの?

ガリ スピッツとか。

高木 スピッツのライブで楽屋に行ったらガリさんがカレー作ってるんですか? 色々すごいな(笑)。

ーそのケータリング代はちゃんともらってるんですか?

ガリ もらってたかなあ?

高木 そんな感じなんですか(笑)。

ガリ でもライブ見てるし、グッズとかくれるし。

ーそういう、人生における本当に自分が楽しい時間を増やすために、株をやって金に縛られることから脱却してる、ということですか。

ガリ でしょうね。だから楽しくてしょうがない。

高木 株をやってる理由を聞いたときから、「芸人で稼げなくて」「コロナで」とかも要因としてはあるのかもしれないけど、「あ、完全に勝ってる人だ」と俺は思った。近いところの人たちは亜流のことを理解できても、たとえば遠い親戚とか一般の人からはなかなか理解されなくて「テレビ出てないけど大丈夫?」「頑張って」って言われたりするかもしれないけど。本当はいろんな道があるじゃん、というのをやっている人だ。

ガリ ファンをできるだけ作らないようにするために、なにをやったらみんな腹立つやろうと思ったら、僕が幸せになることやと思って。僕が幸せになったらムカつくでしょ?

高木 (笑)。今ちょっとゾクゾクしました。

ガリ だから株やって、お金いっぱい貯めて。

高木 ガリガリガリクソンを壊しにかかってますよね。ニートでステレオタイプのオタクだと思ってたら、「あれ、どうやら株でめっちゃ稼いでるらしいぞ」って。ストーリーとして面白いですよね。

ガリ しかも嫁いる。十数年付き合ってました、みたいな(笑)。

食うために笑いをやらない
でも笑いに忠実な人生物語

高木 今回、すごい回だわ。こんなに紐解けると思ってなかった。

ガリ 実際、ここまで手の内を明かしたのは初めて。呼んでいただいたからには秘密の話をいっぱいしますよ。僕、不祥事を起こしたことがあって。復帰してからずっと仕事してたけど、あまり仕事が増えなくて。2年くらい頑張ったときに、社長に「あの、僕ってもうテレビとか無理なんですかね?」って聞いたら、「せやねん!」って言われて。

高木 ははははは(笑)。

ガリ そこから、裏方の作家とかもやるようになったり。

高木 いろんなタイミングが重なりつつ、今の形に行き着いてるんですね。

ガリ 楽しい。最高ですよ。だって8月28日のNGK(なんばグランド花月)の出番で今年仕事納めですから。

高木 まじっすか? 本当に?

ガリ はい。一応入ったら受けるけど、会社には「もうこれ以上は」と言ってて。

高木 そのチョイスができるということですもんね。

ガリ そうそう。やりたくなったらやるし。

ーいずれ新しいネタかなにかを生み出したい、という欲求はあるんですか?

ガリ なんでうちのマネージャーみたいなこと言うんですか!

高木 はははははは!(笑)

ガリ やらないんです、私は!

高木 ネタなのか新しいキャラなのかわからないけど、自分がワクワクするようなことがあったら、ということですよね。でもそれをチョイスできるのは、本当にすごい。芸人に限らず音楽でも、もう飽きてるけど、でもやらないと食っていけないし、みたいな人がいる中で、めちゃくちゃ理想的だと思う。本当はこうなりたくてもなれない人たちがいっぱいいるから。お笑いとか音楽に関係ない人たちも、レールに乗っかってないけど食えてる人たちっていて。そういう選択肢もあるんだとわかっているだけで、楽になれるんじゃないかな。今、本当に、感動してる。多分、めっちゃ腹立たれますよね?

ガリ そうですよ。

高木 なんとなくある常識の上からはみ出て楽しそうな人たちって、「羨ましい」「こっちは真面目に頑張ってるのに」みたいなことになるけど、そういうことを言う人たちもこっちに来る選択肢はあるから。それを「ガリガリガリクソン」というキャラでやってた人がやってるのがすごく面白いしかっこいいなと思いました。

ガリ いえいえ、みんなのムカつく顔が僕の原動力ですから。

高木 ……結構すごいわ、これ。システマチックというか。よくできてる。だってこれをもっと清廉潔白な人がやっていたら、もっとヘイトがやばいと思う。

ガリ 芸人さんから「お前、なんか破天荒なことばっかりして」みたいに言われるけど、実は僕ってめちゃくちゃお笑いに忠実なんですよね。


Photo by Renzo Masuda, Hair and Make-up・Styling by Riku Murata


『AVEANTIN』
BREIMEN
ソニー・ミュージックレーベルズ
4月3日(水)発売

BREIMEN MAJOR 1st ONEMAN TOUR「AVEANTING」
4月19日 (金) 東京 人見記念講堂
4月26日 (金) 札幌 sound lab mole
5月10日 (金) 仙台 Rensa
5月18日 (土) 大阪 なんばHatch
5月24日 (金) 金沢 AZ
5月31日 (金) 福岡 BEAT STATION
6月1日 (土) 広島 LIVE VANQUISH
6月7日 (金) 名古屋 ボトムライン

BREIMEN
常軌を逸した演奏とジャンルにとらわれないスタイルで注目を浴びる、5人組オルタナティブファンクバンド。バンドを軸としながらも各々が有名アーティストのサポートを行い、その確かな演奏技術と、セッションからなるジャンルに拘らない型破りのサウンドセンスで熱烈なファンを獲得している。岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」では高木祥太(Vo, Ba)が作詞・作曲、BREIMENメンバーが編曲・演奏に参加。2023年10月、アメリカ・ロサンゼルス州・エンゼルスタジアム前にてメジャー移籍を発表。

ガリガリガリクソン
1986年2月19日生まれ、兵庫県出身。NSC大阪校23期生。2009年に『お笑い新鋭王座』初代チャンピオン、『第5回BGO上方笑演芸大賞』ネットワーク賞を獲得。2019年から元手36万円で本格的にデイトレードをスタート。

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