King Gnu、怒涛の2019年と『CEREMONY』の裏側を明かす

「世界とツアーは愛で回ってる」

ーライブの会場の熱狂を見ていても思うのは、King Gnuが率いるヌーの群れがもうかなり大きくなっていて、エネルギー溢れるデカい群衆ができている状態で、「King Gnu」という名前をつけたときの構想にはもう達している状態とも言えるわけじゃないですか。「さあ次はこの群れとどうする?」というステップに来ていると思うんですけど、そういうことってなにか今考えていたりしますか?

常田 そうですね、ストーリー的にはきれいにいってる感じ。……でもまあ、そこも含めてもう一回冷静に、という感じですかね。

新井 そうだね。

勢喜 うん。まったく冷静な時間なんてなかったですからね。

常田 本当に怒涛でしたね、この1年。

新井 だから「『紅白』どうですか?」って言われても、「どうなんだろう?」って感じになっちゃうんです。一番自分たちが他人事なんじゃないかなって。

ー一個一個の出来事に対して、冷静に考える時間もないし、みたいな。

勢喜 うんうん。

常田 そうそうそう。

ーちなみに、King Gnuってテレビ番組に出るときも生演奏にこだわっているじゃないですか? 当て振りではなく。それって「紅白」もですか?

常田 「紅白」もそんな感じです。

新井 各々のパートは生ですね。やっぱり熱量っていうものを大事にしたいんですよね。音楽番組ってもともとは普通にライブをするもののはずで、音がトラブったときのリスクを考えるのもわかるけど、俺たちは、今のところは熱量を大切にしたいというのがみんなの共通認識なので。

ーやっぱり、人と人から生まれる熱量というのは、King Gnuが大事にしてきたものですよね。だからこそ、愛のない人が関わってくることとか、効率重視に対して、虚しさを感じる。バンドがしんどい環境に陥ったときって、メンバー間でぶつかり合いが起きるか、もしくはメンバー同士の結束力が高まるか、どっちの方向に行く可能性もあると思うんですけど……King Gnuの場合はどうでした?

常田 結束力は相変わらず、いい感じではある。

新井 うん、そうだね。

井口 4人の強度でいうと、ツアー中に僕が歌えなくなったとき、3人がちゃんと演奏で魅せられるのがこのバンドの強みだと思ったし、そこにすごい支えられた。ああ、やっぱりいいバンドだなって、ツアーで声が出なくなったときに再確認できましたね。

新井 理が声出なくなって、マジでヤバイなって日があったんですけど(11月4日の高松公演)、結局その日が一番よかった。一番ライブ感があったよね。ライブのスタッフ周りに関しては、本当にみんなKing Gnuを好きでいてくれてるっていうのが伝わってくるんです。金のためにその仕事をやってるわけじゃないというか。あるライブスタッフさんと(勢喜)遊と3人で飯食ったときに、「俺らが一番近いところにいるファンだから、俺らが楽しくないことはしないでくれ。俺らがガックリくるようなことがあるとお客さんも絶対満足できないから」みたいなことを言われて。それってなかなか言ってもらえないことだなと思ったんですよね。

勢喜 うん、みんなKing Gnuのことを好きでいてくれる。

常田 愛で回ってる?

勢喜 愛で回ってる!

井口 世界がね。

勢喜 (笑)。世界とツアーは愛で回ってる。

井口 はははは!(笑)

ー今冗談交じりで「世界とツアーは愛で回ってる」って言ったけど……King Gnuって、頭脳と技術のある人らが集まった器用なインテリ集団みたいな見られ方を、それこそ全然詳しく知らない人からされたりもするけど、やっぱりそういう愛とか人間臭い感じをめちゃくちゃ大事にしてる集まりですよね。

新井 いやあ、本当にそうですね。そういう面が、他のバンドよりすごく強いと思いますね。


左から : 勢喜 ジャケット ¥24,800 Pigsty渋谷神宮前店(TEL:03-6427-3392) 井口 ジャケット ¥8,580 CORD(TEL:03-3313-5744) 新井 ジャケット ¥27,500 即興(TEL:03-6304-9421) そのほかスタイリスト私物(Photo by Ray Otabe, Styling by Shohei Kashima )

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