登坂広臣の魅力は「陰」にあり ダンスミュージック隆盛を願う男が語ったビジョン

登坂広臣による『Who Are You?』解説

ジャンプを煽りつつダンサー達とともにセンターステージで披露したのは「HEY」。鍵盤の旋律と透明感のある登坂のファルセットがサウンドに溶け込む。スクリーンに映し出された水色と白のカラーも重なり、海際でパーティをしている気分に(「UNDER THE MOONLIGHT」前には月明かりに照らされた海の映像が投影された)。本編最後は「DIAMOND SUNSET」。カリビアン風味をさりげなく忍ばせたドラマティックな曲でフロアを盛り上げる。炎が上がりレーザーが飛び交うソロ初期の「CHAIN BREAKER」、J-POPとトロピカル・ハウスを理想的なバランスで融合したかのような「HEART of GOLD」と、アンコールでも会場を多幸感で包み込む登坂。ファンとの一体感を大事にする一方、EDMライクなトラップ「UNDER THE MOONLIGHT」で聴かせたフロウのように、陰りを帯びたヴォーカリゼーションと有機的なバンド・サウンドが、幾層もの奥行きを作り出していた。


Courtesy of LDH


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2018年のツアーと異なりセルフカバーやカバー楽曲は無く、全曲ソロアーティストとしてのセットリストで終えたこの日のライブ。HIROOMI TOSAKAが目指すアーティスト像の輪郭が、これまで以上にハッキリしてきたと実感できたステージだった。

そして開演前、舞台裏で本人に話を聞くことできた。

ー今回のスペシャルショーケースは、2018年の『FULL MOON』ツアー以降のソロ活動を踏まえた続編的なライブとも言えますよね。まずは今年1月にリリースした2ndアルバム『Who Are You?』について聞かせてください。

アルバムを出すにあたって、前作『FULL MOON』のときもそうだったんですけど、大枠のストーリー性やテーマを考えるんです。将来の活動に向けての布石というか、最後に伏線がちゃんと回収できるようなものにしたくて。そこで、今回はこの世界に入って10年経った自分にフォーカスを当てて、あらためて自分は何者だと自問自答する――それをテーマにしようと思いました。2020年は三代目 J SOUL BROTHERSでデビューして10周年を迎える年。これまでグループとしていろんな夢を叶えることができましたし、ソロでもアルバムを出したりアリーナツアーをしたり、そうかと思えば映画で主演を務めたり、常にいろんな自分を表現してきましたので。



ー全体のイメージは去年シングルを出してるときから描き始めてたんですか?

「SUPERMOON」(2019年4月リリースのシングルCD)を作ったときに「BLUE SAPPHIRE」(劇場版『名探偵コナン 紺青の拳』の主題歌)も作ったんですが、その頃から2ndアルバムのイメージは頭の片隅にありました。2018年の『FULL MOON』ツアーでやったことと「BLUE SAPPHIRE」という曲はテーマ的にも自分でもビックリするくらい連動していて、ミュージックビデオにもそのつながりを落とし込めた。そこから「NAKED LOVE」(2019年7月に配信限定でリリースされたシングル「SUPERMOON 〜閃〜」に収録)と続いて、「OVERDOSE」(2019年11月リリースのシングルCD)につながっていく。自分の中で「OVERDOSE」は「NAKED LOVE」のアンサーソングというか、対比するイメージで作っていて。実は「OVERDOSE」のほうが先に完成していたんです。でもストーリーの展開を考えると、先に「NAKED LOVE」を世に出したかった。そういう流れを経て、2020年の年明けに2ndアルバムという形でまとめて世に出すことができました。





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