NYの救急救命士「私が生活費のためにヌード写真を公開した理由」

最大の問題は賃金

ー最終的に掲載された記事を見たときの気持ちは? 2週間、基本的にもやもやして過ごしていたでしょう?

InstagramとTwitterに600件のフォロー申請がくるまで、記事のことは全然知らなかったんです。記事を読んで、他の人たちの意見も読みながら、どうしようもない気分になりました。電話に釘付けになったみたいでした。岩の陰にもぐりこんで、一生隠れていたかったです。そしたら友達が記事のリンクをあちこちに張り付けて、なんてひどいんだ、と言ってくれて。その時初めて、状況が変わっていることに気付きました。前から『My Favorite Murder』というPodcastのファンが集まるFacebookグループや、第一応答者のファンが集まるFirst Responderinosというサブページとつながってたので、そこに書き込みをしました。「助けてください、どうすればいいかわからない。法的に問題になりますか? 仕事がなくなるんじゃないか心配です」。そのコミュニティが本当に支えてくれました。実際には一度も会ったことのない人たちが、GoFundMeで私のために募金ページを立ち上げてくれたんです。寄付までしてくれる人がいるなんて、本当にびっくりでした。しかも瞬きしてる間に、1万ドル、1万5000ドル、2万ドルとあっという間に増えていくんです。あんなにたくさんの人たちが私を応援してくれて、私の代わりに声を上げてくれたなんて信じられません。でも心底驚いたのは、AOC(アレキサンドラ・オカジオ=コルテス)がツイートしてくれたときですね。実は彼女がDMを送ってきて、今日電話で話をしたんです。彼女の方から電話をくれて、励ましの言葉と声援を送ってくれました。私の仕事と勇気に感謝を述べてくれました。私も、アパートの壁に彼女の写真を飾っています、尊敬しています、と伝えました。彼女がわざわざ連絡して励ましてくれたなんて、ものすごく感激でしたね。

ーなぜあなたが槍玉にあげられたのだと思いますか?

あちらは私が泣きごとを言うと思ったんでしょうね。でもあいにく私はそういう育て方をされていません。差別されたら言い返すよう育てられたし、不公平なことがあったら声を上げます。今回のことはフェアじゃありませんでした。今じゃ私もちょっと名前が知られるようになったので、仲間の救命士の代表として、自分たちが抱えている問題について声を上げる責任があると思っています。何カ月もPPEが足りなかったこと、連邦政府からろくに援助が得られなかったこと。私にとって最大の問題は賃金です。私たちは自分の命を賭けています。自らの命を危険にさらしています。なのに、ニューヨーク市の第一応答者の中でも給料が一番低いんですよ。救急医療技師の場合、最初は時給15ドルからスタートです。救命士になってからは、時給25ドルもらっています。でもバスの運転手の中には、もちろん彼らには感謝していますが、私たちよりも給料がいい人もいるんです。彼らがもらいすぎだと言うつもりはありません。でも、私たちはもっと評価されてしかるべきだと思います。

昼間の仕事を辞めて、OnlyFans一本で稼いだほうがいい、そっちの方がずっと楽だ、と言う人も大勢います。好き好んでセックスワークをやっている人がいるのは分かりますし、自分の好きなことをやるべきだと私も思います。でも個人的には、私のやりたいことじゃない。私にとっては副業として稼ぐもの。やらなくて済むならやりたくない。もうこれ以上やりたくありません。私にはニューヨーク市民に対して果たすべき責任があります。市民に奉仕すると誓いました。それが私のやりたいことです。早く仕事に戻りたいですね。私がなりたいのは救命士。人々のケアをしたいんです。

【画像】コロナの影響で収入が激減したと語るセックスワーカー

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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