SUGIZOが語る、縄文文明から日本人が学ぶべきこと

縄文時代に対する漠然とした興味みたいなものは何年も前からあった

―そこからは、すぐに制作に取り掛かったと?

それが、ちょうどLUNA SEAの方が忙しくなってしまったんですよね。主催イベント『MUSIC AID FEST. ~FOR POST PANDEMIC~』は準備も含めるとまるまる1カ月掛かりましたし、その前にはシングル「Make a vow」を作っていたり、そのほかにもいろいろチャリティ活動をやっていたり、さらにガンダムの40周年記念アルバムや、『GIBIATE』というアニメの仕事とかもあって、やっと自分のソロに取り掛かれたのが6月中旬くらいだったんです。ただ、まずは9月にリリースした『LIVE IN TOKYO』というライブアルバムを作らなきゃいけなかったので、結局7月に入ってからやっとこのアルバムと向き合えた感じでした。コンセプトやイメージはその数カ月でどんどん熟成されていたので、それをバーッと音にしていったんです。で、今回のアルバムを作るにあたってもっとも重要だったインスピレーション源が、縄文文明なんです。

-その縄文文明は、いつからSUGIZOさんの中にあったテーマなんですか?

縄文時代に対する漠然とした興味みたいなものは何年も前からあったんです。今年パンデミックといえる状況になって、残念ながら人々が協力するというよりは、人間のネガティブな部分が露呈しましたよね。誹謗中傷が激しくなり、Black Lives Matterを発端にレイシズムの渦が世界中を駆け巡った。そんな中、コロナに感染した人や医療従事者の方々が差別されるようにもなった。さらに、一部の超富豪たちは安全に暮らしていて、貧困層はとんでもない暮らしをしている。この異常に開いてしまった格差に、新自由主義、資本主義の限界を感じていたんです。そこで様々文献などを読んで情報を収集しているうちに、あらためて気付いたんです、縄文文明の面白さに。

―というと?

縄文時代というのは1万5千年くらい続いたんですけど、現在の文明で1万年以上平和な日々が続くって考えられないことですよね。それに、縄文って僕らが教科書で習った感じだと、文明としてちゃんと自立していない、完成されていないイメージがありますけど、実情は全然違って、科学的にも精神的にも相当進んだ文化だったらしいんです。現代に生きる我々の一番問題って、やっぱりヒエラルキーじゃないですか。搾取する側、される側、持っているか持っていないか、誰かが得をして誰かが損をする。要は、ヒエラルキーに依拠した究極の利己的な世界なんですよね。その点で言うと縄文は真逆で、考え方が利他的だったようです。コミュニティのリーダーのような中心人物はいるけど、みんなが平等で、みんなが存在感を発揮していたんだそうです。利他的だからこそ平和が1万年以上も続いた。今となっては紛争が1万年間無い社会なんて想像がつかないですよね? 少なくともアメリカは建国以来戦争しなかった年はないくらいです。そういう国が世の中のリーダーになっている社会は間違っていると思うんです。で、今こそ縄文のような平和が続いた世界から学ぶべきことがあるんじゃないかと思ったんです。

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