「Reborn-Art Festival」が伝える、今の世の中に必要な「利他と流動性」

例年以上に充実した「食」のプログラム

豊かな自然と気候に恵まれている石巻は魚介類も、鹿肉を代表とした肉類も、野菜も、本当に美味しい素材が採れる地域である。今年の「Reborn-Art Festival」は、食のコンテンツが例年以上に豊富だ。地元の食材を使った料理を味わえる常設レストラン「Reborn-Art DINING」「はまさいさい」の他、毎週土曜日の夕方から夜にかけて開催される「夜市」、石巻を代表する飲食店の料理人と国内の著名シェフがまるで音楽のセッションのように一緒に料理を作り上げる「セッションディナー」、食にまつわる利他と流動性を考えるイベント「RAF シンポジウム2021」など、様々なプログラムが予定されている。


Reborn-Art DINING


今村正輝による「荻浜ブイヤベース」

以前筆者が、今回のフードディレクターを務める今村正輝(石巻市内にある和食店「いまむら」店主)に話を聞いた際、石巻の人々が持つ「利他」についてこう述べていた――「震災や津波が起きたことで、偉い人もお金持ちも1回リセットされたし、お互い助け合って生きていかなければっていうことを、みんなが経験している」。こういった震災直後の人々の利他の想いが、小林にとっても今回のテーマを掲げる上で大きな手がかりとなった。

小林は、開催に向けてこんな言葉を残している。

「震災から10年を経た今、コロナ時代のなか、人間が知りえること、コントロールできることなどたかが知れていると自戒の念を持つに至った今、自然の、宇宙の一端であることとつながりを想像力と創造性で補って、描いて、喜びを持って、楽しんで、記憶に残していくことがリボーンアート・フェスティバルの役割なのではないかと感じている。利他と流動性。それは表現の新たな動きと場をつくると思う」

都道府県をまたぐ移動に自粛要請がかかる中であって、現地に足を運ぶのは難しいという人もいるだろう。「ワン・バイ・ワン・プラス 〜10年目のフレームより〜」をはじめ、いくつかオンラインプログラムも用意されているので、無理なく「Reborn-Art Festival」に参加して各アーティストが発信する「利他と流動性」の精神に触れながら自らの生き方や心の在り処にじっくりと向き合うことが、この総合祭の理想的な楽しみ方だと言えそうだ。

PHOTO:Taichi Saito & ©︎Reborn-Art Festival

<INFORMATION>


Reborn-Art Festival 2021-22
宮城県 石巻市街地、牡鹿半島(桃浦、荻浜、小積、鮎川)、女川駅周辺
2021年8月11日(水)〜9月26日(日)※休祭日:8月18日(水)、9月1日(水)、9月15日(水)
https://www.reborn-art-fes.jp/

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE