チャーリー・ワッツから感じるロックンロールのリズムの成り立ち、鳥居真道が徹底考察

「やはりMONOで聴きたく…」



他のストーンズによるチャック・ベリーのカバーでいうと「You Can’t Catch Me」も素晴らしい。原曲はほぼハネない2ビートですが、ストーンズは50%くらいの割合でハネた2ビートとなっています。チャーリーは淡々とパターンを繰り返していますが、ときおりがっつりハネたフィルを入れて曲も盛り上げています。この曲は特にミック・ジャガーのもちゃりとした歌唱が非常にクールです。バンドの演奏に比べると若干遅れたタイミングで合わせていてまさに粋。このように飄然とした態度で「You Can’t Catch Me」と歌われた日には。



先述のガーディアンでの追悼文でスチュワート・コープランドも言っていましたが、チャーリー・ワッツの演奏を分析することはできたとしても、真似することは容易ではないと思われます。たとえ真似できたとしても、ともにアンサンブルを構築できるメンバーがいなければなりません。つまり相棒たちがいなくっちゃね、という話しです。チャーリーのスタイルおよびストーンズのサウンドは、キース・リチャード、ミック・ジャガー、ビル・ワイマン、ブライアン・ジョーンズ、ミック・テイラー、ロン・ウッドらとともに相補的に組み立てられたものに他なりません。ストーンズというバンドの在り方を考えると、バンドのサウンドというものはつくづく替えが利かないのだなあ、としみじみ思います。



鳥居真道



1987年生まれ。「トリプルファイヤー」のギタリストで、バンドの多くの楽曲で作曲を手がける。バンドでの活動に加え、他アーティストのレコーディングやライブへの参加および楽曲提供、リミックス、選曲/DJ、音楽メディアへの寄稿、トークイベントへの出演も。
Twitter : 
@mushitoka / @TRIPLE_FIRE

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Rolling Stone Japan 編集部

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