『ザ・ビートルズ:Get Back』が永遠に語り継ぐべき名作となった24の理由

17.
ジョージの不機嫌度は、髭の量から推し量ることができる。彼は機嫌のいい時にしか髭を剃らないため、肌がツルツルの時の彼は大抵笑顔だ。逆に、無精髭はトラブルの予兆だと言っていい。バンドに復帰してからも警戒心を解かなかった彼は、いつもみすぼらしい髭を蓄えていた。しかし、口もとの髭が綺麗に整えられている時、彼は紛れもなくファブ・フォーの一員であり、太陽のような輝きを放っていた。

18.
バンドが1965年に残したコメディ作品『Help!』は散々こき下ろされたが、どうやらリンダとポールは気に入っていたようだ。ピーター・ジャクソンが同作の8時間バージョンを作るなら、筆者は絶対に観る。



19.
リンゴがピアノで「Octopus’ Garden」を弾くシーンも見逃せない。皆がクスクスと笑うなか、ジョージがギターを手にとって演奏に加わったことをきっかけに、同曲はれっきとした作品となる。だがジョージは、彼自身の楽曲がなかなか採用されない状況に悩んでいたにも関わらず、同曲に自分のクレジットは不要だと申し出る。彼の思いやりが伺えるこのシーンは、2人の間柄を物語っている。昨年、彼の80歳の誕生日に放映された特別番組で、リンゴはジョージがどのように作曲を手伝ってくれていたかを語っている。「僕は書き始めた曲を仕上げるのが苦手だったから、彼が完成させるのを手伝ってくれてたんだよ」

20.
エピソード2の終盤で、ジョンとジョージ、そしてリンゴの3人は「I Lost My Little Girl」をプレイする。同曲はポールが14歳の時に初めて書いた曲で、母の死について歌ったものだ(「結構ストレートだよね」。彼は後にそう認めている)。重たくも、メンバーたちの思慮深さが感じられる場面だ。その場にいた他の人々の誰一人として、それが何の曲なのか、そして何を意味しているのかを知らなかった。4人はいつものように、ジョンが「ビートルコード」と呼んだ彼らにしか分からない秘密の言語で対話していたのだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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