川谷絵音が振り返る2021年の音楽シーン

サブスク時代における、
新しいヒットの生まれ方


―「国内で最も再生されたアーティスト」に戻ると、Vaundyが11位。「踊り子」のリリースがもう少し早かったらベスト10入りもあったかも。

川谷:(同曲のMVに出演している)小松菜奈ちゃんの結婚とちょうど時期が近くて話題になった部分もあるから、結果的にはこのタイミングで良かった気がしますけどね(笑)。Vaundyは着実に一曲ずつサブスクで当ててるなって思います。それでいうと、4位の平井大くんは物凄いペースで曲を出し続けていますよね。週間ランキングから落ちる前に次の曲がリリースされて、毎週「平井 大」という文字が目に入るから、それだけ再生回数にも繋がっていく。あんなに曲を出してる人は他にいないと思うし、サブスク時代の新しいやり方を確立したなって。毎回リリックビデオを出したりいろんな工夫をして、ずっとランキングに居続けるシステムを作り上げた人だと思います。




―バンド系はどう見てますか?

川谷:Mrs. GREEN APPLEは今年活動してなかったのにランクインしていて(12位)すごいですよね。13位のONE OK ROCKもそうだし、国内でもアーティストのランキングは根強い人気のある人たちが入ってくる印象です。ただ、6位のback numberに関しては「水平線」が今年ヒットして、第二次ヒット期に突入したような印象がありますね。これまでもずっとヒットしてるんだけど、再びブームが訪れているというか。「国内で最も再生されたアルバム」の9位に、back numberのベストアルバム『アンコール』(2016年リリース)が入っているのもそう。これも過去作まで遡って聴かれているということですから。

―アルバムについては、他にどうでしょう?

川谷:平井大くんの『Life Goes On』が4位に入っているのは、単曲のヒットだけではなく、ちゃんと本人にファンがついている証拠ですよね。あと、マカロニえんぴつは最近「なんでもないよ、」がノンタイアップなのに大ヒットしているし、来年はもっと上がってきそう。年明けにメジャー1stアルバムも出るし、彼らのアルバムが何枚もランクインしてくる可能性もあると思います。



―「国内バイラルチャート」の年間ランキングにも触れておくと、1位は夜のひと笑い「ミライチズ」です。

川谷:カップルYouTuberですよね。「うっせぇわ」が1位かと思ったので意外でした。このランキングに入ってるのは、ほぼTikTok起点のヒット曲ですよね。Girls Planet 999に関しては、K-POPやアイドルを好きな人が、番組含めてハマったというのもあるんでしょうけど。3位の「ヨワネハキ」でフィーチャーされている、和ぬかくんの和を感じさせる独特なメロディは来年以降も流行ると思います。SixTONESにも曲提供したりしてますもんね。あとは、未だにボカロ系が強しというか。5位のChinozoもそうだし、和ぬかくんの曲をアレンジしてるのも、100回嘔吐というボカロPだし、「うっせぇわ」の作詞・作曲もsyudouくんだし。


「国内バイラルチャート 年間ランキング」プレイリスト

―川谷さんが個人的に今年好きだった日本のアーティストや楽曲を挙げてもらえますか?

川谷:やっぱりVaundyと藤井風くんは毎回新曲が楽しみでした。「次は何するんだろう?」みたいな。米津もそうですね。あと、yamaは本当に素晴らしい声だなって改めて思ったり。最近だと、土岐麻子さんの新譜『Twilight』に入ってる「ドア」という曲が好きでしたね。それから、TVドラマ『最愛』をめっちゃ見ていて、宇多田ヒカルさんの主題歌「君に夢中」がめちゃくちゃ好きで。『最愛』は劇伴も超いいんですよ(作曲者は横山克)。あの劇伴が今年のトップかもしれない。自分がここまでドラマにハマるのも珍しいし、音楽でドラマの魅力が倍になる感じを久々に感じました。




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