ミッキー吉野本人と語る、アルバム『Keep On Kickin' It』



田家:流れているのはアルバム9曲目「Beautiful Name(Piano Piece)」。1979年4月発売ゴダイゴのシングルがミッキーさんのソロの曲になっております。これは亀田さんが歌詞を外してやってみようと提案されたんですよね。

ミッキー:みんなが知っているような曲でやるとこういう感じになるんじゃないかと思ったんですけど、やっぱりこれもピアノエンターテイメントじゃないかなと思うんですよね。

田家:タイトルもそうですし、歌の内容もメッセージ色がある。

ミッキー:さっきのDさんと近いですよね。ここでは民族も肌の色も関係なく、子どもたちもみんな美しい名前を持っている。自分の名前の自覚、自分を好きになろうと、そういうのがテーマになっているんですよね。

田家:「歓びの歌」、「Beautiful Name」このへんがミッキーさんと亀田さんお2人がこのアルバムでやろうとしたテーマですよね。

ミッキー:まさしく。

田家:さっき奈良橋陽子さんの名前が出ましたけども、フラワー・トラベリン・バンドというバンドがありますよね。

ミッキー:ジョー山中のバンドですね。

田家:フラワー・トラベリン・バンドもアルバムの歌詞は奈良橋さんが書いていたんですね。『SATORI』というアルバムがあって、オリエンタルな土着的なものを取り入れた日本のロックの名盤だと思っているんですけども。

ミッキー:「HIROSHIMA」もそうで、結局ゴダイゴのプロデューサー・ジョニー野村。この夫婦がジョーたちとフラワー・トラベリン・バンドで奏でて、その経験を活かしてゴダイゴでもっと日本のものを作った感じがしないでもないですよね。

田家:フラワー・トラベリン・バンドがカナダに行った時の受け皿はあの2人だったんですもんね。

ミッキー:おもしろいですよね。これが縁かなと思うけど。

田家:しかもミッキーさんのバンドがフラワーって言葉を使われていたり、ゴダイゴに『FLOWER』ってアルバムがあったり。『FLOWER』に託したものはなんだったんでしょうね。

ミッキー:あまりメルヘン的なことを言いたくないんだけど、自分がボストンにいたときに公園で綺麗な花があって。当時は勉強しているから本を持っているじゃないですか。そこに押し花にして入れておいたんです。それをうちの親に贈ったら、「こういう綺麗な花を人に贈るのは大事だぞ」って言われたんだよね。それがすごく残っていて、だからいつも自分の心を伝えること、美しいものを人に与える。そういう意味でフラワーが出てくるんじゃないかなと。

田家:所謂フラワームーブメントとか、フラワーチルドレンというところとはちょっと違うところにありそうですか。

ミッキー:でも基本はそうじゃないですか。みんなお花をつけてサンフランシスコを目指そうということ。それは花というのがきっと自分の心でもあり、人に対してのやさしさであり、象徴になる目に見えるものなんじゃないかなと思います。

田家:「ビューティフル・ネーム」の日本語バージョンをお送りしようと思います。亀田誠治さんがプロデュースしている日比谷音楽祭では2019年、この曲を日本語で最後にみんなで歌った。そういう曲でもあります。

ビューティフル・ネーム / Godiego

田家:1980年10月23、24日中国の天津で行ったライブの模様が『中国 后醍醐(ちゅうごく ゴダイゴ)』というライブ盤になっていて、この曲をタケカワさんがお客さんに合唱するようにシングアウトのコーラスを指導していますね。

ミッキー:この曲はベストのアレンジなんですよ。詞の内容と同じように地球、人類、みんな本当の共存という意味で、アレンジもフリージャズからいろいろなものが入ってくる。これは知らないうちにやっていたんだけど、音楽は地球そのもので、全てと共存していくことが表現できているなって聴いていてつくづく思っちゃいましたね。

田家:今回の『Keep On Kickin’ It』のジャケットもそういう思想になって?

ミッキー:あれもやっぱりそういう意味じゃないですかね。肌の色が違っても、全部共存調和していく。うちの家内が描いたのですが、そういうところじゃないですかね。

Rolling Stone Japan 編集部

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