ウェット・レッグ、2022年最注目バンドが語る「ルーズな軽やかさ」の秘密

 
ウェット・レッグが生まれるまで

ワイト島で幼少期を過ごしたティーズデイルとチャンバースは、音楽フェスに行ったり、浜辺で友人たちとのんびり過ごしながら青春時代を送った。「ものすごく狭い島に押し込まれていた」とティーズデイルは言う。「バーベキューもいっぱいしたし、友人たちとたくさんキャンプもした。あと、かなりの未成年飲酒も」

チャンバースは音楽一家で育った。幼い頃からピアノを習うかたわら、ムーディー・ブルース、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニック・ドレイク、アレサ・フランクリンといった音楽の好みを母親から受け継いだ。デヴィッド・ボウイもたくさん聴いた。

ティーズデイルとチャンバースには、それぞれ3人のきょうだいがいる。そのおかげで音楽に詳しくなったとティーズデイルは語る。「iTunesが流行っていた頃、こっそりアクセスした」と彼女は言った。「きょうだいのiTunesを通してビョーク、レディオヘッド、ジョアンナ・ニューサム、デヴェンドラ・バンハートを知ったの」



ティーズデイルとチャンバースは、アイル・オブ・ワイト・カレッジで出会った。イギリスの職業資格制度であるBTECのパフォーミングアーツの資格を取得するため、各々が音楽業界について学んでいたのだ。「知り合った当初は、いつも一緒にいるってわけではなかった」と、チャンバースはティーズデイルのほうを見ながら言った。「どちらかと言うと、かなり威圧的だったよね。あなたはすごくクールだったから。私は超内気だったし」

「私はグループBにいて、あなたはグループAにいた」とティーズデイルは応じた。「イケてる子たちのグループにいたのはあなたよ」

ウェット・レッグのふたりがかなりクールであることは言うまでもない。だが、結成当初はそれを狙っていたわけではないそうだ。「始めたばかりの頃は、絶対に真面目なバンドにはならないっていう固い決意みたいなものがあった」とティーズデイルは言う。そんな彼女は、結成当時はギターの弾き方さえわからなかったと明かした。「ゲームの目的は、ただ楽しむこと。誰かに評価されたとしても、関係ない。ただ楽しむ。だってそうしちゃいけない理由なんてないじゃない? そう思えるまで、かなり時間がかかった」



「間違いなく怖かった」とチャンバースは言い添えた。「20代半ばになって年をとるにつれて、『みんなに笑われるかしら? これっていいのかな?』と思いはじめるけど、でも実際はそうだから、ただやってみればいいの」。デビューアルバム『Wet Leg』には、シングル「Wet Dream」も収録されている。生意気でセクシーなこの名ポップチューンには、“あなたがそう思う根拠はどこにあるの?/自分で自分を触りながら、私のことを考えてもいいなんて”という挑発的な問いかけも含まれる。

「Wet Dream」は「Chaise Longue」と同様におのずと生まれた楽曲だとティーズデイルは語る。“ベイビー、私と家に帰らない?/『バッファロー‘66』のDVDもあるの”という「Wet Dream」の歌詞には、彼女が14歳だった時に観た映画が登場する。「DVDということばを使いたかった。だって、もう誰もDVDなんて観ないから、面白いでしょう?」と彼女は言う。

Translated by Shoko Natori

 
 
 
 

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