ウェット・レッグ、2022年最注目バンドが語る「ルーズな軽やかさ」の秘密

 
加速する人気、変わらない自然体

ウェット・レッグの珠玉の作品は、これだけではない。「Being in Love」がニューアルバムのオープニングを堂々と飾る一方、11曲目の「Supermarket」はコロナ禍に友人のドラッグの売人から得たインスピレーションに基づいている(サビの“めちゃくちゃハイになりすぎた”に注目)。

「まさに乾期のような時期だった。だって誰もパーティーしたり外出したりしないから」とティーズデイルは言う。「そんな時、彼らから『ファビュラス・フライデー! 1個買ったら2個目はタダ!』のように、素敵な宣伝文句と特別価格を謳うメッセージが送られてくるの」

全12曲のニューアルバムに入りきらなかった楽曲もある。「I Want to be Abducted (By a UFO)」はそのひとつだ。「(この曲を)復活させることを考えている」とチャンバースは言う(「やっぱり括弧のほうがいいかな。なんかダークな意味合いがあると思われそうだし」とティーズデイルが言い添えるように、タイトル表記はひとつの争点になっている)。


2022年3月、テキサス州オースティンで開催されたSXSWで演奏を披露するウェット・レッグ(Photo by Griffin Lotz for Rolling Stone)

3月11日から20日にかけて開催されたサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)では、ウェット・レッグはどのアーティストよりも注目されていた。会場の外には長い行列ができ、イベント期間中は熱狂的な投稿がソーシャルメディアを賑わせた。ふたりは、比較的リラックスした時間をテキサスで過ごした。「大好きなササミとセルフ・エスティームを観ることができた」と、ティーズデイルは後からメールをくれた。「食事のことを忘れてしまいがちだけど、トーチーズ・タコス(オースティン発祥のタコスレストラン)にも数回行ったわ」

ウェット・レッグのファンベースが常に成長していることを理由に、彼女らは初の北米ツアーの会場を格上げせざるを得なかった。650人が収容できるブルックリンのミュージックホール・オブ・ウィリアムズバーグではなく、約3倍のキャパシティを誇るブルックリン・スチールで満員の観客の前でふたりは先日パフォーマンスをした。今週は、カリフォルニア州ロサンゼルスのフォンダ・シアターでの公演を控えている。

ティーズデイルは、私たちがウェット・レッグの楽曲に惹かれるきっかけとなったルーズで軽やかなオーラにすべてをまとめ上げた。「(会場の)格上げは、自分には大きすぎるサイズの靴を履きながらヨタヨタ歩こうとしているような気分」と彼女は言う。「変な歩き方をしてるって、誰かにバレないといいんだけど」

From Rolling Stone US.




ウェット・レッグ
『Wet Leg』
発売中
国内盤CD:ボーナストラック2曲収録
詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12264

Translated by Shoko Natori

 
 
 
 

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