市原隼人が語る、『おいしい給食』を通して伝えたい「人生を謳歌する」ために必要なこと

──(笑)。清潔感あふれるキリッとした甘利田が、いきなり満面の笑みで踊り出すそのギャップも笑えるのでしょうね。既存のキャラクターや俳優などで、何かお手本にしたものはありましたか?

市原:それは一切なかったです。誰かの模倣をするのが何より好きじゃないので、監督やスタッフとイチから作っていきました。

──コロナ禍の撮影は大変だったのではないかと思うのですが、撮影中のエピソードで印象に残っているのは?

市原:今回、子供たちも大変だったと思います。私語は一切せず、本番までマスクを二重に着用して、本番で初めて声を出すことが出来るような状況でした。しかも大声を出すシーンは、後からアフレコで加えるなどしています。窓も全開にして、夏だったから40度にもなる暑さの中で芝居をしなければならなかったし、本当に様々な試練を乗り越え、撮り終えたこと自体が奇跡だとすら思いました。生徒たちのクランクアップの時に卒業証書を一人一人に渡したのですが、みんな号泣していましたね。スタッフもキャストも一丸となって熱い時間を過ごしたことは、僕にとっても忘れがたい思い出です。


(C)2022「おいしい給食」製作委員会

──甘利田の教え子であり、ライバルでもある神野ゴウ役を演じた佐藤大志さんの魅力についてもお聞かせください。

市原:最初に彼と出会ったときはまだ13歳だったんです。今回の撮影では15歳になっていて、背丈も大きくなっているし、なんだかドキュメンタリードラマを見ているような、親戚のおじさんのような感覚で「大きくなったね、学校はどう? ちゃんとご飯食べてる?」みたいなことを聞いてしまいました(笑)。全く大人びれずに自然体でいるのも彼の魅力ですし、まるでスポンジのようにあらゆることを吸収しながら、どんどん大きくなっているのを目の当たりにして、とても感銘を受けましたし、僕の方が学ばせてもらったことが多かったと思います。

──「給食」に関して何か記憶に残っていることはありますか?

市原:給食が大好きでした。学校はもちろん勉強をしにいく場所なのですが、給食の時間はもうとにかく楽しかった。大好きな献立が出る日は1日中テンション上がりますし、苦手なメニューがあるとこの世の終わりみたいな気分にもなって(笑)。小学生の頃って、足が速っかたり、勉強ができる子と並んで「給食を食べるのが速いやつ」もかっこいいと思っていましたよね。あれは一体なんだったのだろう。僕も、それほど好きでもない牛乳を急いで飲んでました。

──あははは。ご自身で料理も作るそうですね。

市原:そうなんです。包丁も8本くらい持っています。早朝に築地へ行って鮮魚を買って捌いて朝ごはんを作ることもあります。コロナ禍になる前は、友人を呼んでパーティーを開いて、そこで料理を作って振る舞うのがとにかく楽しかったですね。あらゆる生物の中で、料理をするのって人間だけだと思うんです。昔は寿命が30年と言われた人類が、これまで食べられなかったものも料理をすることで食べられるようになり、より栄養を吸収して体を作ることが出来たから寿命も伸びたのではと考えています。それに気づいて、「せっかく人間に生まれたのに料理をしないのはもったいない!」と思ったのが料理にハマったきっかけでした。

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