Charと春畑道哉が語る、理性と感性で考えるギタリストの流儀

Charの武道館ライブ、その舞台裏

―なるほど。羨ましいと言えば、DVD/Blu-rayが発売になった Charさんのデビュー45周年の武道館も布袋寅泰さん、奥田民生さん、山崎まさよしさん、AIさん、春畑さん……素敵な後輩たちが集結して、羨ましかったです。その武道館ライブをあらためて振り返りたいなと思いますが、前座が三人の侍(Char、奥田民生、山崎まさよし)!

Char:まぁ、構成は悩んだのは悩んだね。真ん中に三人の侍を入れても良かったんだけども、まぁ掴みでやっぱりアコギで。武道館なのに(笑)。みなさんをリラックスさせたかったしね。



―あれで会場の空気がすごく温かくなりましたよね。ゲストパートで言うと、布袋寅泰さんパート、そして本編の最後ではAIさんパートがありましたが、どちらのゲストパートも素晴らしかったです。春畑さんはアンコールで演奏された「We Love Music」(他に、日野賢二、INORAN, 山内総一郎、すぅ、あいにゃんが参加)での出番だったわけですが、本編はご覧になっていましたか?

春畑:はい。本編をずっと観てましたがもう楽しくて楽しくて。オープニングから、すごいオープニングだなって(笑)。

Char:大丈夫ですか?みたいな。

春畑:その後、布袋さんは出てくるわ、AIちゃんは出てくるわで。

Char:あっという間だったでしょ?

春畑:はい。あとAIさんがボーカルで入るという、あの形での「Smoky」は初めて聴きましたね。そして全体としてすごくバランス良く、一瞬も飽きずに、次なんだ?次なんだ?みたいな感じで。で、それを堪能した後、「あ、俺ちょっと弾くんだったんだ」って思い出して(笑)。

―すっかりお客さんモードに(笑)。

春畑:完全にお客さんになってました。で、アンコールの「We Love Music」はもう本当に一瞬で終わってしまいましたね。リハで1周だけのソロじゃ物足りないからってCharさんが2周目いこうって言って、増やしてくれて。

Char:みんな面白かったよ。思わずみんなのエフェクター写真撮っちゃったよ。足元あんまりにもみんな派手だから。

春畑:布袋さんのがいかつかったですね。

Char:いかつかった(笑)。その半分ぐらいがINORANくんで。

春畑:INORANくんはディレイ系がいっぱい入ってて。

Char:そのINORANくんも、布袋さんの見てビビってた(笑)。

―(笑)あの「We Love Music」は久しぶりに、日本の音楽シーンのいいものを見せてもらった感じがしました。

Char:そうだった?

―はい。布袋さんもMCで「Charさんがいなかったら、日本のロック業界はここまで華やかなものにはならなかったと思う」って言ってましたけど、本当にそうで、ゲスト出演したCharさんをリスペクトしてるミュージシャンそれぞれみんな個性のあるプレイヤーだったのがその証拠だなぁと。

Char:年代的に布袋くんや春畑くんだとテレビを通して俺のことを見て育ったと思うんだけど、そうじゃない人もたくさんいるのが面白いなって思ったの。俺は別に何かを牽引したり引っ張ろうと思ったことは一回もないから。自分の立ち位置、ホームグラウンドがこれじゃつまんないなと思って、レコード会社やってみたり、フリーコンサートやってみたりしてきた。そういう風に自ら企画を立てて、先輩たちのロックの世界とはまた違う、洋楽ともまた違うことを、自分のためにやってきたんだけれども。でもその結果、ああいう若い、下手すれば自分の孫ぐらいの人と一緒にやれたのは面白いなって(笑)。

―確かに、すぅ、あいにゃんのお二人とかお孫さん世代!?

Char:それが出来たのはギターの魅力だよ。決して俺に影響されてギター始めたわけじゃない人もいるのが面白いよね。年齢もジャンルもここまで違うギタリストが一緒にやるのは海外でもあんまりないんじゃないの?

―ないと思います。やはり年齢かジャンルでかたまってますよね。

Char:本当にそう思う。あとから客観的に見たら面白い絵だったね。

―春畑さんも刺激を受けました?

春畑:そうですね。ギタリスト全員が全く違うバックグラウンドなんで。

―春畑さんもあのメンバーに関して、「We Love Music」のプロジェクトを通して初めて知ったってことも多かったのでは?

春畑:そうですね。INORAN君の“僕はバッキングしかしない”っていうあのスタイルもカッコいいなって。アルペジオをずーっとしててすごくカッコよかった。ブレない自分のスタイルをみんな持ってて刺激を受けました。

Char:それがギタリストの面白いところで。みんながみんなソロを回していくのは観たことでしょ?猫の喧嘩みたいに。そんなのつまんないじゃん。つまんないっていうかありがちだよね」


Photo by Mitsuru Nishimura

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