ドラマストアが語る上京した理由、終わりを起点に続くことを描く2ndアルバム

―それが「knock you,knock me」なんですね。この曲も収録された2ndアルバム『LAST DAY(S) LAST』はフルアルバムとしては3年振りということですが、1枚にまとめる上で、どんなことを考えましたか。

長谷川:僕らは曲のポジションかぶりを気にする制作をしているんです。「この曲があるからこの曲は入れないでおこう」って、できるだけレンジを広く取っているんです。だから、30曲作ってその中から良い12曲を選びましょう、みたいな姿勢じゃなくて、わりと狙い撃ちしていることが多くて。その中でも今回は、僕が書き下した曲が多かったので、それも相まって楽しく前向きにできました。

鳥山:海くんが作ったものを自分のアレンジで返すパターンが多くて、そういう意味ではブラッシュアップ というのが主たる目的になっていたので、結構“マシーン”でした。自分が求められていることを、歌詞やメロディから推測して返すようなことを繰り返した感じです。前々からそういう部分はあったんですけど、今回はそれが強かったですね。

長谷川:これまでと一緒といえば一緒なんですけど、僕のネタがないとか全然思いつかないときの「セッションで作ろうか」ってなる数が減ったんですよね。

鳥山:デモが多かったから、その必要がなかったというか。

―それは今回、長谷川さんの創作意欲が高かったということ?

長谷川:もう、ぜんっぜん(笑)。逆に引っ越し前後の2ヶ月ぐらい何もしていないときがありました。でも、和也君が結成当初の7年前の僕のデモをまだ持っていてくれるんですよ。それで、僕にアイデアを想起させてくれるような提案をしてくれたり。

松本:いまだに「この曲はいつかやろう」という曲を並べてます。ライブのセットリストは自分が考えているんですけど、今回に関してだと、12曲で1枚作るということでポジションかぶりな曲を含めて、「ライブでこの曲をこの位置でやりたい」とか、ライブを想定していることが多いかもしれないですね。それで今回こういう曲を並べています。

―今作で特にこの曲は聴いて欲しいという曲を挙げてもらってもいいですか?

松本:一応、我々は全曲愛しているので順位付けはしないと言ってきたんですけど……そろそろしていこうと思います(笑)。

―お願いします(笑)。

松本:本当に全部かわいい曲だと思っているんですけど、3曲目の「ピクトグラム」は、僕がほぼ強引にといいますか、「これ絶対にやるんで」という感じで進めさせてもらいました。これは前からデモあった曲です。「どうだろう?」って言いながら、アルバム制作のかなり最後の方までズレ込んだんですけど、最終的には全員納得のいく感じになって、やりたい曲が良い感じに落とし込めたという気持ちでいっぱいです。

―「ピクトグラム」は、幾何学的なギターリフなどが印象的ですが、ここをこうしてほしい、みたいなことも言ったんですか?

松本:「ピクトグラム」のギターに関しては、「それ絶対弾いてくれ」って言いました。歌のメロディと噛み合ってるか噛み合っていないかで、いつもは「気に入ってるけどやめとこうか」ってなることも結構あるんですけど、この曲に限っては「気にしないで弾いてくれ」って。

鳥山:この曲は結構紆余曲折あって、もっとキャッチーだったんですよ。全然違うイントロと間奏とオケと、今のメロがあって。4パターンぐらいあったんです。ボツ、作る、ボツ、作る、やっぱりアレが良かったって最初に戻ってくるみたいな感じでした。

松本:それが結果的に、“ザ・ドラマストア”な感じになりました。

髙橋:自分のこれを聴いて欲しいという曲は、「無色透明」です。このアルバムの聴き始めとして、まずメロディが好きなんです。

長谷川:ありがとうございます (笑)!

髙橋:結構、制作でコード譜を割っていく空気感も楽しい感じで、サクサクと決まっていった覚えがあって。その思いの中でレコーディングも気持ちよく録れたから、聴いていて爽快というか。いつどんな場面で聴いても頭がスカッとする感じです。メロディが良いのとサウンドが爽快で気持ち良いのと、特にCメロでガラッと空気感が変わるところもこの楽曲の良さだと思うので、そこも是非聴いて欲しいです。

鳥山:僕は「月と旅人」なんですけど、この曲は、ボーカル、ベース、ピアノが入ったデモが僕のところにきたんですよ。「できるだけシンプルに」って言われたんですけど、嫌やなと思って(笑)、打ち込みまくったんです。そうしたら割と採用してくれて。ああいう始まり方でもなかったし、やりたいことができましたね(笑)。シンセを使ったのも、言ってみればコロナ禍で得たものでもあるし、ここ2年でSTAY HOMEしているときにインスタでネオソウルっぽいのが流行ってそこからジャズ、ヒップホップ聴いていたことが反映されていると思うので結構好きですね。

―結果、心地良いポップスに昇華されていますよね。

鳥山:そうですね。あんまりネオソウルっぽい方にも行きたくないし、でもエッセンスとしては入ったかなと思います。

長谷川:自分は思い入れを挙げたらキリがなくて、それぞれの曲が僕の中でドラマがあるからめちゃくちゃ決めがたいんですよね。う~ん……。

Rolling Stone Japan 編集部

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