「ツタロックDIG LIVE Vol.10」開催、次世代を担う10組のバンドが生み出した熱気

本日最後のアクトとしてMASSIVE STAGEに3ピースバンド・This is Lastが登場した。ドッシリとしたドラムとベースのボトム、エッジがあって太めの声が明瞭な響きをもってフロアに届いていく。赤いセミアコースティックギターをかき鳴らし、ベースラインは歌うようなフレージングも挟みつつ、ボーカルも含めて耳を惹きつけるフックに溢れている。

「ヤバイ! 楽しい! 楽しくない!?」と満面の笑みでMCするギター・ボーカルの菊池陽報、新曲の「もういいの?」からヒットソング「殺文句」「バランス」と立て続けに披露していく。乾いたギターサウンドはシンプルであり、ここまで登場してきたバンドらのようにエフェクターを巧みに使い分けての変幻自在さはない。

だが、菊池のボーカルと声の良さを中心にして、ギター・ベース・ドラムスも含めて「フック」を多くもった楽曲、恋心や孤独など赤裸々な歌詞と、明確な武器を理解しているからこそ、パンチ力をもって観客に届いていくのは、その反応を見ればわかる。

煽るまでもなく手拍子が起こり、曲が終われば割れんばかりの拍手が起き、曲中の振りもバッチリと反応する。10組ものバンドが絡んだイベントにもかかわらず、全員がThis is Lastのファンかのように感じられるほどだ。


This is Last(Photo by 大橋祐希)

「今日は新曲リリース日だし、初めて出るイベントだし、みんなも僕らを初めてみる人もいるでしょう? 初めて尽くしでいいね」

「来月にはツアーが始まるところだったんだけど、いまコロナがまた強くなっているという話もあって、実は心配、不安だった。でもこのステージのバックドロップ幕をみて、ウォーってなってるお客さん見て、嬉しくなったよ。今までのライブハウスに戻ってきてるんだって!」

不安だった胸中を、この日のイベント・観客に勇気づけられたとハッキリと口にする菊池。ほかのバンドらもMC中には「嬉しい」「勇気づけられた」と口々に語っていた。コロナウィルスも2022年のいまが一番感染が拡大している状況にあり、ハードな状況には変わりない。

そんななかにあっても徐々に熱気を取り戻しつつある。ここは渋谷のSpotify O-EAST、名門と謳われるライブハウスに、ほぼ満員に近い観客が自分たちを迎えてくれたのだ。光明以外の何物でもない。

アンコールに披露した「君が言うには」で思いっきり歌詞を飛ばしてしまい、「やばいかもー!」と叫びながら曲を進めていく。「今日があってよかった! そりゃとぶよ! だって楽しいもん!」と曲中に叫んだ、飾り気のない菊池の本音であり、本日出演した全バンドの気持ちを代弁しているかのようであった。



<イベント情報>


「ツタロックDIG LIVE Vol.10」
2022
83日(水)渋谷・Spotify O-EAST
出演:オレンジスパイニクラブ / ケプラ / This is LAST / Bye-Bye-Handの方程式 / moon drop / ペルシカリア / マルシィ / ヤングスキニー / yutori

Rolling Stone Japan 編集部

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