甲田まひるが語る、矛盾のなかから湧き上がる創造性

ソロワークスの理想と共同作業の面白さ

—ラップに関して、今回チャレンジしたことは何かありました?

甲田:曲中にラップが入る場所が、今までにないケースで。普段だとA→B→サビの次の2Aの部分でラップが入ってくることが多いんですけど、今回は作ってる流れでラップをしたくなったのが、2Bの直後でした。ちょっと特殊な順番なんです。ラップそのもののセクションの入り方とか場所にこだわりを持って、その上で今回はちょっと異質な感じにしたかったので、歌い方とかもやりすぎず、でもちょっとクセのあるところを狙って録りました。

—ラップのリリックはトラックを聴いてから考える?

甲田:トラックができてからフローを入れていくんですけど、その段階では歌詞は適当に入れていって、活かせる部分は活かしながら最後に細かい歌詞をはめていく感じですね。

—じゃあラップも含めて「夢うらら」全体のテーマっていうのは、作りながら決まっていった感じですか?

甲田:割とそうですね。この曲は最初にトラックとメロディができて、そこから自分の夢とか目標をテーマに、明るい曲にしたかったので、なんとなく自分を応援できるような、人に聞いてもらったときに励まされるような曲にしていこうと描いていきました。作った時期が冬から春だったので、新生活に向けた曲にしようってところから、春うららっていう言葉と結びつけた感じです。

—「California」のときはアレンジャーに成田ハネダさんを迎えての共同作業ですよね。

甲田:自分じゃ思いつかないアイデアを出してくれるので、すごくかっこよくなったと思います。最初は自分の中で明るさ一辺倒でラップ部分だけ落ちる感じだった曲が、ラップ部分のサウンドをメインにアレンジしたデモを送ってくださって、それを自分の方で切り貼りさせてもらったり。曲がキャッチーになる要素を提案してもらえたので、1人だったらこういう曲にはなってないと思います。

—周りの意見を聞きながらやるなかで、いろんな刺激がありました?

甲田:刺激はあります。でも自分で完結させたいって気持ちはどうしてもあって、1から一緒に何かを作り上げるのはすごく楽しいと思うんですけど、自分の中にあるアイデアを共有するのは難しいと思っていて。どういうやり方が向いてるかは、自分でもまだわからないんですけど、これから探り探りやっていけたらと思います。

—カップリングの「ごめんなさい」はラテンの曲ですけど、これも新境地ですよね。どんなイメージで作ったんですか?

甲田:自分のデモにもいくつかあるんですけど、そもそもラテンの曲がすごく好きなので、それをちゃんと仕上げたいと思って作りはじめました。自分の中でラテンを作るって決めていたので、メロとかも書きやすかったんですよ。そこからテーマを決める上で、相手に気を遣って謝っちゃうときの本心じゃない「ごめんね」って言葉、いろんなシチュエーションで無意識のうちに使うことがあるんじゃないかなって思って。それを恋愛に置き換えたときに、自分を大切にできてるのかみたいなところに繋がってくるのかなと思って、そういう女の子の悩みを曲にしようと思いました。



—当初描いてたイメージのものより、いいものができた実感はありますか?

甲田:アレンジしていくにあたっていろいろ変わっていくので、制作中は違う方向に行ってるんじゃないかなって不安に思うこともあるんですけど、その都度持ち帰るようにして、これでいいのかって確認してました。でも結果、デモと聞き比べたら全然いいものになってるなって実感はあります。

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