PassCodeが語る、可能性を解き放つグループの新機軸

PassCode

2022年という年はPassCodeにとって新たな扉を開ける1年となった。これまで彼女たちは常に壁にぶち当たり続け、ぼろぼろになりながらそれを乗り越えてきた。今年は、2020年頭に掲げた日本武道館公演という目標を大成功で達成したことで、グループ内の空気がいい意味でリラックスしたものに変わった。インタビュー中のメンバーの発言を借りるなら、「どう見られたいか」というよりも「どうライブをしたいか」を優先できるようになった。エイプリルフールの企画として生まれたコテコテのアイドルグループ「ぱすこーど」にはメンバーが想定していた以上の反響が寄せられ、現在行われているファンクラブツアーにもゲストとして登場。好評を博している。

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そういった変化は、今年彼女たちのライブに足を運んだ観客全員が感じていたと思う。自由で、のびのびとしていて、ポジティブ。武道館は通過点と言いながらも、大きな山を越えたことは確実にPassCodeに大きな影響を及ぼし、もう一段上の世界へ自らを押し上げたのである。

12月21日にリリースされた4曲入りEP作品『REVERBERATE ep.』は、実に約1年ぶりとなる新音源。ライブではすでに何度も披露されている「SIREN」を中心に、歌に比重を置いた内容になっている。

今回のインタビューでは新作についての話はもちろん、今年1年の振り返りや、ファンに対する姿勢の変化、そして来年出演することが決定しているFear, and Loathing in Las Vegas主催のフェス「MEGA VEGAS」についてなど、PassCodeの過去、現在、未来について語ってもらった。



―有馬さんが加入して1年半近くが経ちました。今、彼女はグループにどうフィットしていますか?

南 菜生 幅が広がったかもしれないですね。それまで私以外のメンバーはライブでアレンジをしないタイプだったので、ライブをつくる上では自分がライブメイクをして、ほかの3人はライブのクオリティをもっとあげることに集中していたんですよ。なので、どういうふうにライブを運んでいくかは自分次第という感覚が強かったけど、えみりは私と同じようにアレンジをするタイプなので、一緒につくってる感覚がより強くなったかもしれない。

大上陽奈子 ライブに関して、私はどっちかというと音源に近づけようとするパフォーマンスをこれまではしてたけど、アレンジをするメンバーが増えたことによって自然と感化されるようになりました。2人ほどの変化を加えることはできないですけど、動きは毎回同じじゃないほうがいいんかなって思ったり。えみりはほんまに毎回違うこと、新しいことをしてくるのがすごくて、一緒にやってて楽しいんですよ。耳(イヤモニ)の中でこれまで全然聴いたことのないアレンジのシャウトが聞こえてくるとテンションが上がるから、自分もこれまでやったことないことをやってみようかなって思うことがちょっと増えました。あとは、同い年の子が増えたっていうのが不思議な感覚で面白いですね。

南 さっき、別の撮影のときに「(撮影順は)誰からでもいいですよ」って言われて、そういうときはだいたい年下ふたりに先に行ってもらうので、「小さい子ふたりから行きや」って言ったんですけど、24なので決して小さい子ではない(笑)。

大上 小さい子って言われると「ハタチぐらいかなあ」って思うんですけど、よう考えたら全然24でした。

―(笑)高嶋さんはどうですか?

高嶋 楓 えみりはダンスが苦手って感じで入ってきたし、実際、メンバーのことを見てフリを覚えたり、ライブ中に不安になるとメンバーを見ることが多いから、「自分もしっかりしないと」って、気持ち的な意味でえみりには引っ張ってもらったかなって思います、たぶん。

―たぶん(笑)。

大上 周りから見てても思うんですけど、かえちゃん(高嶋)は先生からのアドバイスをしっかり聞いてダンスの練習をするので、メンバー練習のときにかえちゃんがえみりに「ここはこうやで」って教えてることが多くて、えみりが入ってからかえちゃんに対して「あ……しっかりしてるお姉さん……」って思うことが増えました。

高嶋 そう、お姉さん。

―今の話を聞いてどうですか?

有馬えみり 私は加入前のPassCodeについて細かいことまでは知らないんですけど、この1年でメンバーのすっぴんを見る機会がいっぱいあって、MVと変わらずかわいかったのでよかったです。

一同 (爆笑)。

―全然関係ない(笑)。

南 衣装も事務所管理になったしな。

有馬 ホンマやな。

南 去年、えみりが加入する前、3人でツアーを回ってたときに楓が衣装の一部を持ってくるのを忘れたことがあったんですけど、それをえみりがネットかなんかで見て、「PassCodeやのに衣装は自分管理なんや……」ってショックを受けたみたいなんですよ(笑)。

―あはは!

有馬 めっちゃショック受けました。

高嶋 でも、それを機に事務所に管理してもらうようになりました(笑)。

南 よかったな(笑)。

―なんか、武道館終わってから、みなさんのびのびとパフォーマンスしてますよね。これは何かから解放されたって感じなんですか?

南 去年、自分の誕生日にInstagramでファンの方にメッセージを書いたんですけど、それを見たら、11月27日の時点でまだ「2021年の自分達を、いつか許せる日が来るように」って書いてて。

―ああ、そうだったんですね。

南 2月にやった武道館公演も前の編成のときに決まったイベントっていう感覚が強かったんですけど、観に来てくださった方の中には昔からのファンもいたし、それ以外にも本当に幅広い方々が来てくださって、しかもあの日のライブを「すごくよかった」って言ってくれたり、それ以降も今のPassCodeに対してすごく前向きな言葉をもらうことが増えたんですよ。そういうことがあったので、自分たちが見せられること、やれることはできたかなっていう感覚になれて。それまでは自分が話すことでファンの方に納得してもらわないといけないとか、変なふうに伝わらないようにしなきゃとか、気をつけて発言をすることが多くて。でも、武道館でこれまでPassCodeを好きだった人に対していったん区切りのライブができたんで、今は自由に楽しく、「どう見られたいか」というよりも、「どうライブをしたいか」っていうことを優先してできるようになりました。それはすごく大きいですね。



―それは4人で話し合ったことなんですか?

南 特にはしてないけど、雰囲気は変わったよな?

大上 うん。

南 夏のツアー(PassCode Tour 2022)の初日のZepp Fukuokaで雰囲気が変わったよな。

大上 なんかすごく楽しかった。

南 何があったんやろうな……。

大上 自分らもめっちゃ楽しかったし、フロアも含めてお祭りみたいな雰囲気で。

南 (手をパチンと叩いて)わかった! わかりました! Zeppの収容人数が緩和されたんですよ。前までは座席があることが多かったんですけど、福岡からこれまでよりも人が入れられるようになって、ZeppっぽいZeppの姿に戻ってたんです。それを見てすごくテンションが上がったんですよ。それが大きい気がしますね。

―なるほど。

南 やっぱり、フロアに椅子が並んでるとこっちもカッチリした気持ちになるんですよね。でも、福岡では「Anything New」でお客さんにジャンプを要求したりしたし、フロアの形が変わったのは大きいですね。

―今は見慣れたけど、ライブハウスに椅子が置いてあるって最初は違和感しかなかったですもんね。

南 えみりも人があんないっぱいいるライブハウスに立ったのはあのツアーが初めてじゃない?

有馬 そうですね。Zepp本来の姿はこれやったんだって思いました。

南 座席があるのとないのとでは全然違うよな? あんま感じひん?

高嶋 めっちゃ感じた。あのツアーのライブを客席の後ろから撮った映像で観るとコロナ前の様子と変わらんかって、すごくテンション上がりました。これでいつか声も出せるようになったらもっと「戻ってきた!」って感覚になるんかなって。



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