礼賛ロングインタビュー サーヤ、川谷絵音と猛者たちが化学反応を語り合う

古い価値観でカテゴライズしてくれるな

―演奏面での聴きどころも多い作品なので、木下さん、課長、GOTOさんにそれぞれ自分のプレイの聴きどころを紹介してもらえますか?

木下:ファズのソロは全曲違うファズで弾いてます。

川谷:そうなの!?

木下:あと「TRUMAN」はカッティングなんだけどボコーダーみたいな音をうにさんと一緒に頑張って作って、曲にもちゃんとハマったなと思います。

課長:僕は全編シンプルなんだけど細かく凝ってるみたいな演奏が多くて、全部の曲に愛着があります。その中でも「Monet Magic」は一曲ずっとスラップで弾いてて、そういう曲は意外となかった気がするので、新鮮だったし、楽しかったですね。

GOTO:人生で初めて叩いた音符があるのは「NO SWEAT」のアウトロのフレーズ。最初普通に叩いてたら、絵音くんから「もっとやばいやつで」みたいに言われて、とりあえず叩いてみたのを後で数えたら2拍15連符で。2拍15連符って、32分音符の一つ足らないみたいなすごい中途半端な数で、こういうのをポップな曲に入れちゃうのは面白いなって。




―ラストナンバーの「U」で、途中からリズム隊と歌だけになるアレンジもかっこいいですね。

川谷:あれはもともとライブの最後にやって、一人ずつ抜けていくっていうのをやるために作った曲で。なので、後半はリズム隊2人に自由にやってもらって、サーヤちゃんがあそこにああいう歌を入れたのも、歌入れまで知らなくて、結構偶然の産物ではあります。

課長:サーヤちゃんはリズム感もめっちゃよくて、トリッキーに行っても全然ぶれなくて。

サーヤ:ライブはいつもめっちゃ怖いです(笑)。

GOTO:でもやれちゃってるからなあ。

川谷:尋常じゃないリズム感なんですよ。「Mine」の2番で途中リズムが超崩れるところがあって、僕らレコーディング結構苦戦したんですけど、サーヤちゃんそこサラッと歌ってて、「あれ?」みたいな(笑)。

サーヤ:無知だからこそっていうのもあるとは思うんですけどね。

川谷:でも「U」も全然ずれないし、そこは本当にすごいと思います。



―最後にもうひとつサーヤさんに聞きたくて、初ライブをERAでやったときの共演者にASOBOiSMがいたじゃないですか。彼女の「Categorizing(feat.なみちえ)」を自身のライブで使ったことが共演のきっかけだったとMCで話されてたと思うんですけど、あの曲で綴られているように、「古い価値観でカテゴライズしてくれるな」っていうのは、お笑いでも音楽でも、サーヤさんの生き方のベーシックにある部分なのかなと思ったんですよね。

サーヤ:それこそ、その「Categorizing」を使ったライブで絵音さんにラブコールを送ったんですよ。Aマッソの加納さんとやってるユニットのライブで、そのときもそういうことは思ってたというか、加納さんも私もいろんなことに手を出してる分、中途半端に見られがちなところもあるから、そうならないようにしたいなって。私は特に今年(2022年)いろんなことをやらせてもらって、エッセイを書いたり、お芝居をしたり、いろいろあったんですけど、「芸人はこれやれ、歌手はこれしろ」みたいなのって、まだ全然あって。特に「芸人の美学」として「下積みがあったうえで巻き返すのがいい」みたいなのもあるから、会社員をやってたときは向かい風が強くて、「片手間」とかめちゃくちゃ言われてて。でもコロナ禍を経験して、一気に風向きが変わったというか、芸人も含めて、みんな当たり前のように副業をやり出して、自分たちの活動も軌道に乗って。自分でカテゴライズしすぎずに、全部を諦めずにやってきてよかったなと思ったので、ベースにその価値観はありますね。



―やっぱり川谷さんとも被りますよね。一昔前はバンドを掛け持ってることに対して「どれかに絞れば?」って言われることも多かったと思うけど、今は複数やることがスタイルとして確立されてる。

川谷:そういう人増えましたよね。僕以外のメンバーもみんないろいろやってるし。

サーヤ:音楽ヤリチンですよ(笑)。

―あはは。なおかつ、ある種の負の感情をカウンター的にぶつけるのではなくて、ポジティブなマインドでまず自分が楽しむことを優先しているのもサーヤさんらしさであり、礼賛らしさになっていて、「バカ騒ぎ」を意味する『WHOOPEE』というタイトルにもそこが表れているなって。

サーヤ:そこはすごく意識してますね。『第一章』みたいなタイトルもありえたわけじゃないですか? 『俺たちの始まり』とか(笑)。でもそうじゃなくて、礼賛は自由で遊び心があるんだけど、でも仕上がりはめちゃめちゃかっこいい。そういうバンドの雰囲気が全面に出るのはこのタイトルだなと思ったんです。




礼賛
『WHOOPEE』
アルバム試聴URL:https://raisan.lnk.to/whoopee

礼賛 ONEMAN TOUR 2023 「whoopee」
2023年1月21日(土)八王子 MATCH VOX
2023年1月28日(土)福岡 LIVE HOUSE Queblick
2023年1月29日(日)岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
2023年2月04日(土)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
2023年2月10日(金)梅田 Shangri-La
2023年2月11日(土)名古屋 CLUB UPSET
2023年2月19日(日)渋谷 WWW X
2023年5月25日(木)恵比寿 LIQUIDROOM ※追加公演

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