クーラ・シェイカーが語る新作の展望、日本と家族にまつわる話、スピリチュアルであること

 
ジョン・レノンへの共感、昨年のサマーソニックを振り返る

―昨年カバーしたジョン・レノンの「Gimme Some Truth」は、今回のセットリストにも組み込まれていますね。この曲を取り上げようと思ったのは何故ですか?

クリスピアン:タイムレスな歌詞だと感じた。今人々が感じていることとも通じる内容だと思うな。「Gimme Some Truth」は、ビートルズの「All You Need Is Love」と同じ種類の感情を抱えた曲だと思う……何故なら、真実抜きで愛は成り立たないし、愛のない真実もまた成り立たないから。心を開いて人々と接することが必要なんだ。自宅で子供たちにこの曲を歌って聞かせたときに、レコーディングしてみようと思い立ったんだよ。

―だからクーラ・シェイカーの「Gimme Some Truth」は、穏やかに語りかけるような歌い方になったんですかね。ジョン・レノンのオリジナル・バージョンは怒りを吐き出すような歌い方でした。

クリスピアン:そうかも。僕はレノンのオリジナル・バージョンが大好きで、確かにあの曲には怒りが詰まっている……英語で言うところの“rant”(わめく)という表現がふさわしいほどに。あの時期の彼はアメリカに対して激怒していたからね。それと同じように、今人々は世の中に偽善がまん延しているのを感じて、いら立っていると思うんだ。政府やメディア、あらゆるところにね。それは“愛と真実”の対極にある……愛は正直であることを求められるものだから。




―1月は全英ツアーをみっちり回りましたが、手応えはどうでした?

アロンザ:とてもいい感じだよ! ジェイが戻ってすぐ人前に立って演奏したことで、バンドの結束力も高まったと思う。

クリスピアン:僕らはデビューしてから短期間で大会場でのコンサートにジャンプアップしてしまったんで、今回のようなクラブギグ中心のツアーは最初期のバンドを思い出させてくれる。ステージに立っていると、過去のさまざまな場面がフラッシュバックするよ。

ジェイ:大昔のスリッパを見つけて、はいてみたら心地よかった、という感じ(笑)。

アロンザ:そいつは臭いそうだ。なんせ20年ものだから(笑)。


Photo by Kazumichi Kokei

―昨年のサマーソニック出演は日本のファンにとってうれしい出来事でした。あのフェスは楽しめましたか?

クリスピアン:大阪会場は暑さとの闘いだった。僕らが外国から来たからそう感じるのかなと思ったけど、楽屋では日本人の若いバンドも皆とろけそうな顔でぐったりしていたから、こっちの人たちがそうなら仕方ないなと思ったよ。会場でカサビアンのサージと会ったんだけど、彼が全身にぴったりフィットする衣装を着ているのを見て、「グッドラック!」と思った(笑)。

アロンザ:あいつ、汗びっしょりだったよな。

クリスピアン:衣装の裾から汗がしたたり落ちてたよ(笑)。

―ライブではmiletとの共演も話題になりましたが、あのときの印象はどうでした?

クリスピアン:素晴らしかったね。オーディエンスの反応も良くて、こういうフェスの雰囲気っていいなと思った。ただ、僕らのステージはかなり大きい音量でサウンドを作っていて、普段の彼女のステージとは全然違うと思うんだ。だから彼女が登場するとき、ノイズの壁に直面して一瞬動揺したのか、フリーズしたように見えた。「これってマジ?」って顔をしてたな(笑)。でもいざ出てくると、彼女は見事にやり切って立派だったよ。事前にメールでアレンジなどの打ち合わせはしてあったから、スムーズに本番に臨めた。

Translated by Sachiko Yasue

 
 
 
 

RECOMMENDEDおすすめの記事


 

RELATED関連する記事

 

MOST VIEWED人気の記事

 

Current ISSUE