ファッション業界の闇、性的暴行を告発し干されたモデルたちの悲劇 米

DARYA KOMAROVA/GETTY IMAGES; NISIAN HUGHES/GETTY IMAGES; DARYA KOMAROVA/GETTY IMAGES; EASTERNLIGHTCRAFT/GETTY IMAGES

ファッション業界の実力者から性的暴行を受けたと名乗り出た代償を、4人のモデルがローリングストーン誌に激白した。

【画像】触る、舐める、挿れる、極悪非道なレイプ犯

米カリフォルニア出身の17歳の家出少女は世界有数のモデル事務所に見いだされ、世界的名声と富を得る夢は海を越えたパリにあると言われた。あそこならトップクラスのエージェントの家に居候しながら、モデルとしてのキャリアもサポートしてもらえると。若くて一文無しだったカレ・サットンさん(旧姓カレ・オーティス)はアメリカを離れ、当時エリート・モデル・マネジメントのヨーロッパ支部長だったジェラール・マリー氏と暮らし始めた。パリに到着するとすぐに、サットンさんは「ボス」に会いに行くよう言われた。当時スーパーモデルのリンダ・エヴァンジェリスタと結婚していたマリー氏は、挨拶がわりに10代のサットさんのお尻をぴしゃりと叩き、「俺が金を出してる以上、意見はするな。黙って言うことを聞け」と言った。

長い撮影を終えたある日、サットンさんはマリー氏のアパートに戻り、シャワーを浴びてベッドに入った。サットンさんの主張によれば、泥酔したマリー氏が寝室に入って来て――彼女をレイプした。

現在54歳のサットンさんはマリー氏を相手取った訴訟について、過去のトラウマが呼び起こされるので性的暴行の詳細を振り返るのは乗り気ではない、とローリングストーン誌に語った。

訴状によると、サットンさんは次第に「マリー氏から距離を置くようになったが、パリで生き残るにはマリー氏が必要だったので、言うことには従った」。マリー氏は「エヴァンジェリスタがアパートにいない時には必ず」「(サットンさんが)いいなりになるだろうとたかをくくり、数か月にわたりレイプを繰り返した」。

度重なる性的暴行が数カ月続いたあと、18歳になったサットンさんはマリー氏を度々拒むようになった。

「マリー氏は怒り、誰も自分には逆えないと言った」と訴状には書かれている。「自分にノーと言ったらどうなるか分かっているかと尋ねられ、彼女はイエスと答えた。彼女はすぐさまアパートから追い出され、ミラノに移された」

「告発したせいで、とばっちりを受けました。自分のキャリアを振り返るととても残念ですが、子どもだった私は『やめて、もうレイプはいや』と言った。そして仕事がなくなった。業界から干されてしまいました」とサットンさん。

サットンさんは2021年にニューヨーク州でマリー氏を提訴し、17歳当時ファッション業界の実力者だったマリー氏からたびたび性的暴行を受け、他の男性にも売春させられたと訴えた。CBSニュースによれば、彼女を含む15人の女性がマリー氏から性的暴行をうけたとフランス当局に通報していた。


カレ・サットンさん 2021年11月10日、ニューヨーク市にて(TAYLOR HILL/FILMMAGIC/GETTY IMAGES)

スーパーモデルのサットンさんは10代の頃、マリー氏の暴行に抵抗した。そして抵抗した直接的代償としてキャリアを棒に振った。モデルが性的不適切行為に遭い、それを告発すると、ファッション業界から目の敵にされる。「それが現実だ」とサットンさんはローリングストーン誌に語った。

Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE