台湾のバンド・ゲシュタルト乙女が語る、なぜ日本語で歌を書くのか

実はみんな表現者なんですよね

―時間の流れや空間の制限に逆らって「想い」を音楽という形にして残そうとしたときに、今のゲシュのサウンドを選んでいることもしっくりきます。こういったサウンドだからこそ表現できるものが、Mikanさんの中であるのだろうなと。

Mikan:高校の頃はきのこ帝国とかindigo la Endを聴いていたので、そういう音楽に染められて自分の色になっていくような感じで。きのこ帝国は、聴いていて落ち着かないというか、ドキドキするような感じがずっとあるんですよね。たとえば「春と修羅」はコード進行が2つだけで、だけどすごく暴力的に音を鳴らしているような雰囲気で、しかも物語を述べるような歌詞で。それを聴いて「バンドってこんな感じなのか」って、自分の中で意識し始めたんです。indigo la Endは、歌詞の書き方がそれまで聴いてきた音楽とはまったく違って、綺麗な言い回しが魅力的だなと思いました。



―「ゲシュタルト乙女」が、メンバーの脱退もあって今は1人であるにもかかわらず「バンド」という形態を続けるのはなぜでしょう。Mikanさんの中で「バンド」というものに強い憧れがあるのでしょうか。

Mikan:ありますね。今メンバーは私1人になっているんですけど、ゲシュタルト乙女はバンドでずっとあってほしいなと思っていて。「バンドでありながら、音楽プロジェクト」という形でやりたいなと思っています。今は、桃太郎が仲間を連れて鬼ヶ島に行く途中だと思います(笑)。今回のツアーには出ないけど、実は将来に向けて仲間を集めながら新しい音楽を作っている最中です。

―6月から初の日本ツアーが始まりますが、ここまでのお話を聞いて、それがMikanさんの人生にとってとても大きな意味のあるものなのだろうなと思います。今、ツアーに向けてはどういう想いがありますか。

Mikan:終わりじゃなくて、始まりだなとは思っていて。高校時代の夢が日本ツアーに行くことだったけど、今は次の目標へと繋がる始まりになっているから、自分も進化していかなきゃいけないなとは思ってます。コロナ前からずっと計画していたんですけど、結局コロナがあって、バンドも編成が変わって。いろんな変化を受け止めて、改めて日本ツアーに行けると決まったことが嬉しいなと思うんですよね。コロナでライブができない空白の時間を過ごしてライブの大事さがわかったし、自分なりに自分を表現してステージに立つ姿をお客さんに見せたいなという想いがあります。自分も表現者という形でステージに立っているんですけど、お客さんものライブのひとつの部分なんじゃないかなとは思っていて。実はみんな表現者なんですよね。ライブのときにみんなでひとつになってほしいなって思います。



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