収監直前のNORIKIYOが語る、10thアルバム『犯行声明』の真意

ヒップホップの神様

―『犯行声明』からは、原始的な衝動というか意地みたいなものを強く感じました。周りの反応はいかがですか?

(全曲のプロデュースを手がけた)BACHLOGICさんはポーカーフェイスなので、あまり褒めてもらうことはないんですけど、それでも「めっちゃええやん」とかは何回か言われたり。ジャケットを作ってくれているグラフィティ・アーティストのKANEくんは、「1stアルバムのテンションを感じたから、色味を黒と赤にする」と言ってくれて。「オレナラココ」のジャケットには有刺鉄線のデザイン入っているんですけど、それも1stアルバムに有刺鉄線が入っていたから、KANEくんがそうデザインしてくれた。だから、2枚目の1stアルバムが出るって感じですかね。別に出したかったわけじゃないんだけど、結果的にそうなっちまったっていう(笑)。結局、環境がそうさせているからですよね。自分が身を置いている毎日の環境を咀嚼して出てくるものが、自然とそうなるだけであって。こういう状況になっちまったら、そういう詞になるんだなっていうことを再確認しました。無理にやっているわけではなくて、本当に生理現象という感じです。

―今後のラッパー・NORIKIYOはどうなっていくのか、ご自身はどのようにお考えですか。

この間、D.Oくんとも話したんですけど、俺たちにはヒップホップの神様がいて、一段ステージを上がろうとしてるときって、その神様が絶対に負荷を掛けてくるんですよね。これまでにも、例えば以前にワンマンライブをやる前にはここで話せないようなこととかがいっぱいあって。今回は、こういうことになったっていう。「これをこなしたら、当然、神様は俺のことを一段上げてくれんだよね?この後にどんなステージが待っているか知らないけど、俺はそれに見合うものをちゃんともらうぜ」っていうか。D.Oくんも、それを精算して、今、精力的に活動していらっしゃると思うし。実際に、懲役に行っている時の過ごし方や、こういうトラブルがあるかもしれないから、っていう話や、彼の書籍に書いてある内容も詳しく教えてもらったんですよ。懲役囚の中にも、ヒップホップが好きな人がいっぱいいると言っていたし、実際に、警察官の中にも聴いている人がいる。(刑務所という)人間扱いされないような場所に隔離されている中で、自分が生み出したものを褒めてもらったりとか、「あの曲良かったよ」とか言われたりすると、その日一日元気が出る、ということも教えてもらいました。そうして話していくうちに、自分の行動にも責任があるというか、ラッパーは、自分の経験したことを言葉を使って流布するわけじゃないですか。だからせめて、世界がポジティブな方向に回るような表現をしたいなと思ったんです。刑務所の中では歌ったりすると懲罰房行きなんで、服役中にいっぱい歌詞が書けるかどうかは分からないんですけど、だからこそ、今の時間は、好きに曲を書いているのかもしれません。あと、D.Oくんにも言われたんですけど、こうなったら「ちょっと長期取材に行く」みたいな、そういう風に考えたら全部が面白くなるなじゃいかって。ヒップホップの神様から与えられたミッションだと思って、行ってきます。でも、その分の対価はくださいよ、あとで。

<INFORMATION>


『犯行声明』
NORIKIYO
YUKICHI RECORDS
6月22日発売
https://hankou-yokoku.norikiyo.biz/
https://zakai.jp/?mode=grp&gid=2863833

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