PassCodeが語る、『GROUNDSWELL ep.』で示したグループの本質

PassCode(Photo by Shingo Tamai)

PassCodeが昨年12月にリリースした『REVERBERATE ep.』に続く新EP『GROUNDSWELL ep.』を6月21日に発表した。前作が白なら今作は黒とメンバーが説明するように、今作は彼女たちの持ち味と言える攻撃的なサウンドと複雑な楽曲構成を全面に押し出した内容になっている。

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久しぶりとなるインタビューは内容を前後編に分けてお届けする。前編は『GROUNDSWELL ep.』について迫る。メンバーそれぞれによる楽曲解説など、本作の内容について語ってもらった。



―まずは新作EPについてお聞きしたいと思います。昨年12月に4曲入りEP『REVERBERATE ep.』をリリース。今回はそれと対になる『GROUNDSWELL ep.』が発表されます。EPってシングルでもないしアルバムでもない、ちょっと特殊な存在ですよね。みなさんにとってはどんな位置づけになっていますか。

南菜生 フルアルバムだとライブで漏れてしまったり、消化しきれなくなる曲が出てくるよねって話をサウンドプロデューサーの平地さんとユニバーサルの担当北田さんとしたんですよ。で、「じゃあ、EPっていう形にしたらどうなるやろう」っていう話から4曲入りのEPを提案しました。EPだからというよりも、ライブで全部の曲を消化できる曲数ということで4曲。それで『REVERBERATE ep.』を作ったんですけど、これは歌モノが多くて、平地さんの中では「白」として位置付けされてたので、それと対になる「黒」を出したいっていう話を『REVERBERATE ep.』を出すときからしてたんです。それで今回「黒」が出るんですけど、今、ツアーで『REVERBERATE ep.』に入ってる4曲全部やっていて、ちゃんとライブで育てられてる感じがあって。さっきも言いましたけど、やっぱり、フルアルバムだとなかなかセトリに入れられなかったり、ライブでどう乗り切ればいいのかメンバーもお客さんもお互いわからない曲が出てきて、結局やらない曲になってしまうってことが多かったんですよ。

―「Majestic」とか。

南 そう。あ、でも「Majestic」はやりたいですけどね。まあ、そうやって漏れてしまう曲がないように……って言ったらアレですけど、ライブでちゃんとできる4曲をテーマにつくったEPです。

―白盤と黒盤。実際、『REVERBERATE ep.』の曲は今のツアーでぐいぐい育ってますよね。高嶋さん、ライブでやっていてどうですか。

高嶋楓 さっき南が言ってたとおり、フルアルバムだとちょっと休憩みたいな曲もあったりするんですけど、『REVERBERATE ep.』は歌モノって言ってるわりに全部攻めな曲じゃないですか。たとえば、「NOTHING SEEKER」はライブではイントロを倍尺にして盛り上げてから本編に入ったりするので、新しいPassCodeになってきたなって。強力な武器が4つ増えたって感じがします。

―僕も『REVERBERATE ep.』は比較的おとなしい作品だと最初は感じてんですけど、ライブで聴いたら、「あれ、こんな曲だったっけ?」って。

南 うんうん。

―実は、『Clouds Across The Moon』も最初はあまりしっくり来てなかったんです。だけど、この曲がライブの終盤で披露されることによって4人がこれをどう見せたいかということが伝わってきて、この曲の楽しみ方を教えてもらったような気持ちになりました。それからはすごくいい曲だと思ってます。「NOTHING SEEKER」もライブで観て大好きになりました。

南 「ANYTHING NEW」を配信シングルとして出したときにあんまり評判がよくなくて、「割と退屈」とか「ライブで盛り上がらない」って言われてたんですけど、「コロナ禍が終わったときにこの曲をライブで一番盛り上がる曲に絶対育てる」って思いながら2、3年やり続けてきて、実際に今そういう曲に育てられてきているので、自分たち次第で曲の見え方とか色って変わるんだなってすごく実感してます。「Clouds Across The Moon』に対しても「ANYTHING NEW」のときと同じ感覚で今回のツアーのセットリストに置いてるし、この曲は元々きっちり振りがついてるんですけど、ライブ用に「ここは振りをなくして手を一緒に振れるようにしよう」とかメンバーで話し合って、ノリがしっとりしてるパートに敢えてジャンプを入れてみたりしてるし、バンドメンバーにも話をしてハイハットをバシバシ叩いてもらったりしてます。



―そこまで工夫してたのか!

南 だから、自分たち次第でどうにでもなるなって。それに対して曲を作ってる平地さんが「PassCodeの曲はライブで完成やから」って言ってくれてるのがすごくありがたくて。人にもよると思うんですけど、自分がつくったものは忠実にやってほしい人もいるじゃないですか。そうじゃなくて、平地さんは「PassCodeがライブでやってる光景を想像して曲を作ってPassCodeがそれをライブで育ててくれるから、また自分の好きなように曲が作れる」って言ってくれてるし、信頼関係みたいなものがあるんですよね。

―セットリストの決め方に関して、いい意味で自分たちのエゴが出てきていると。

南 うん、そうですね。けっこう好き勝手やってます。

―なんか、『GROUNDSWELL ep.』もすでにライブで聴いてるような気分になるんですよ。次のツアーがあるとして、今回のEP2作から8曲全部入ってても全く文句ないです。

全員 へぇ~。

―それぐらい『GROUNDSWELL ep.』の曲はしっくりきてます。

南 本当ですか? そういうの、制作中はわからないんですよね。

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