w.o.d.が語る新しい挑戦と手応え、『BLEACH』から受けた影響

─Kenさんから見て『BLEACH』がこれだけ長い間、多くの人に愛されている理由はなんだと思います?

Ken:芯があるというか、ブレないカッコよさですね。

サイトウ:(黒崎)一護が圧倒的な軸になってるよね。ものすごく真っ直ぐな主人公像は『少年ジャンプ』らしいし、ともすると単純になりかねへん。それなのに、めっちゃ複雑なストーリーで伏線回収もエグい。軸がしっかりしてる作品だからこそ、絶大な人気が続いてるよね。

Ken:あと、俺らっぽいなと思ったんですよ。ビジュアルとか雰囲気が、どこか俺らに通ずるものがあるなと。

サイトウ:『BLEACH』にはロックがあるよね。

Ken:そうそう、そこが好きなんかな。

サイトウ:プライマル・スクリームが「Rocks」という曲を出しちゃうみたいな。そういうロックの良さが『BLEACH』にはある気がしますね。

元良:作者の久保(帯人)先生がロック好きなことも大きいかもね。

サイトウ:『BLEACH』のお話をもらった時は「……ほんまですか?」と聞いちゃいましたね(笑)。曲については、ほとんどリクエストもなく自由に作らせてもらいまして。自分たちの好きな曲を作って、好きな作品と一緒に組めたので、純粋にハッピーでした。タイアップだからといって、特別なことはしてないよね?

元良:いろんなオーダーがあるのかなと思ったら、全然なかったね。今回のアニメ新シリーズは、久保先生がみっちりコミットしているらしいんですよ。作画とか各方面で久保先生のイメージが結構あると聞いていたんですけど、俺らの曲に関しては「こうしてああして」がなかっのは、それだけハマりが良かったのかなと思います。

サイトウ:相性が良かったのは絶対あるよな。

─リクエストとか細かいオーダーがない中で、どのように曲を作られたんですか?

サイトウ:テーマやイメージをがっちり固めて作ったというより、もともと『BLEACH』を知っていたのは大きかったです。意識したのは89秒の尺に収めることぐらいですね。あと、今まで見聞きしたアニメのオープニング曲は展開が速くて情報量が多いな、と参考にはしましたけど、そんなに特別なことは考えていなくて──『BLEACH』の話を頂いた時に、iPhoneに入ってる「GarageBand」で打ち込み始めたんですよ。

Ken:移動してる間に作ってたよね。

サイトウ:そうそう。新幹線の中でデモができた。なので、逆にどう作ったのか分かんないです。ほんまにスッとできたんですよ。でも曲を聴いて、ちゃんと『BLEACH』っぽさが出ている。子供の頃から見とったから、もはや遺伝子レベルで自分の中に『BLEACH』のイメージが入ってるんやと思うんですよ。

元良:それは作品の持つ力だよね。

サイトウ:うん。もはや『BLEACH』の画がどうやって動くかが、余裕で脳内イメージできるよね。その感じで曲を作っていったというか、w.o.d.としてもすごくナチュラルに、自然と曲になりました。

─サイトウさんの言う通り、子供の頃から作品のグルーヴとノリを知ってるのは大きいかもしれないですね。

サイトウ:そうですね、ニュアンスみたいなものが自分の中に入ってるのかも。子供の頃から見ていたっていうのは、絶対にでかいっすね。



─歌詞はどんなことを意識されましたか?

サイトウ:俺が『BLEACH』を読んだり観たりして受けた印象は、“目に見えないもの”というのが大きくあります。死神もそうですし、虚(ホロウ)もそうやし、滅却師(クインシー)とか、そういう目に見えないものを大事にするのが印象として一つあるのと、あとは生き抜く物語やなと思うんですよね。いろいろ背負っているけど、なんとか壁を乗り越えて生活を続けるみたいなことやなって。とはいえ、物語に沿ってそれを言葉にするだけやと内容をなぞるだけになっちゃうと思ったし、自分の中でも踏みきらへんままになっちゃいそうだったので、自分の生活とか経験を重ね合わせながら書きましたね。だから、あんまり意識しすぎないようにはしていて。『BLEACH』をテーマに置きすぎるよりも、“目に見えないもの”と“生き抜くこと”と“子供から大人に成長する”ことをテーマに、自分に対して説得力がある言葉と内容で歌詞を作っていきました。

─じゃあ、これまでの曲作りとマインドは変わらず?

サイトウ:あんまり変わらないです。ただ『BLEACH』というめちゃくちゃ大きなテーマがあるので、それを目印にしながら曲を作れたから、そこに助けられた部分もありました。完全にゼロの状態で曲を作り出すとなったら、どこに楔を刺すかが一番大事なんですよ。それがないとバラバラな曲になっちゃう。最初からでかいトピックがあったからこそより身軽に作れたし、アイデアも浮かびやすかったです。

元良:僕らの曲はほとんどメロディーと歌詞は後乗せなんですよ。オケを作って歌詞が乗った状態を聴いた時に、コード感と歌詞とアレンジが織り成す世界観がちゃんと『BLEACH』を想起させる。一言でアニメソングと言っても、色々な形の曲があると思うんですけど、『BLEACH』のオープニング曲になってることを知らない人が「STARS」を聴いてもちゃんといい曲に聴こえるし、アニメ作品の曲としてもバッチリハマっている。僕の中では、アニメソングとして理想の状態になったと思う。めっちゃ最高です。

Rolling Stone Japan 編集部

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