w.o.d.が語る新しい挑戦と手応え、『BLEACH』から受けた影響


─演奏する上で、意識されたことは何でしょう?

元良:初めてクリックを使って演奏しているんです。アレンジを完全に決めた上で、実際にマイクで録った音を聴いてみて、演奏のニュアンスを確かめていくんですけど、クリックに合わせ過ぎるとダメだな、と思いました。綺麗に演奏し過ぎない方が自分たちっぽいので。

サイトウ:89秒尺にするためには、クリックがないと厳しいんですよね。0.1秒単位で合わせないといけないので。

元良:なのでクリックに合っていないとOKテイクにならない。とはいえ、合わせ過ぎると自分たちらしくならない。レコーディングの時はそこに気を遣いましたね。アニメという面でのOKテイクは出ていても、その中から自分たちらしさが出てるテイクを選ぶ必要がありました。その結果、w.o.d.らしいサウンドにできたので「俺たち、クリックがあってもやれるじゃん!」と自信になりましたね。

Ken:w.o.d.としてすごくいい曲ができたし、それがタイアップになったのはすごい嬉しいですね。

サイトウ:ベースも歪んでるしね。

Ken:そう! そういう曲がアニメのタイアップになるのはね、イレギュラーなのかもしれない。

─いわゆるアニソングってどうしても音が整理される印象あるんですけど、w.o.d.らしい緊迫感とか緊張感の生っぽいサウンドが、『BLEACH』の世界観にものすごくハマっていますよね。

サイトウ:うん、そうですね。さっきもチラッと言いましたけど、無意識的に『BLEACH』から受けた影響がすごくあって、『BLEACH』は激しい戦いのシーンが多かったりするけど、どこか常に切なかったり、悲しい部分がある物語だと思うんですよね。そのエモーショナルさが、この曲にもちゃんと入っている。だから焦燥感もあるし、切なさみたいなのもすごく自然と入れ込めた気がしていて。もちろん自分らとしては、今まで通りのスタンスで曲を作ったけど、『BLEACH』がないとできへんかった曲やなと強く思います。

元良:一護は守るために、強くならざるを得ないんですよ。そこは切ないですよね。戦いたくはないんですよ、本当は。

─『BLEACH』のストーリー上の切なさも踏襲しつつ、w.o.d.然として聴こえる楽曲になったのが本当にいいですよね。

サイトウ:特にこの2人(Kenと元良)は、プレイヤーとしての癖がすごくあるんですよ。プレイのニュアンスやったり音やったりが、バンドアレンジする段階で自然とw.o.d.になっていくんですよね。趣味趣向もあるんやろうけど、ナチュラルに人間性みたいなものが出てくるというか、だから何をやってもこうなるんやろうなって感じがするよね。

Ken:そんな中で、今回の新しいアプローチで言うとCメロじゃない?

サイトウ:そうね。毎回曲作るたびに「1つはやったことないことやろう」みたいなのがあって。サビの中にCメロ的なものを入れるのは、前々からやりたいと思っていて、これがあんまりやったことのない情緒の感じが出たのは、ほんまに『BLEACH』の作品性に影響を受けたんやろうなって感じがします。ハッピーすぎへんし、かといって暗いわけでもない。ちゃんと前を向いてる感じが、コード感、プレイ、歌詞にも出せた気がしますね。

元良:さっき言っちゃったけど、アニソンとしても最高だし、アニメと切り離して聴いても、バンドとしていい曲ができたっていう、一番いい状態の作品になったよね。

サイトウ:重めの曲で切なさを出すのは、相性が悪くなってしまうことが多いと思うんですよ。マッチョイズムを感じちゃうようなリフがしっかりあると、切ない方面のエモーショナルと結びつきづらかったりするんですけど、この曲はそれがすごく自然にできた感じがします。

元良:それこそ『BLEACH』がないと、こうはならなかったかもしれない。

サイトウ:ほんまにそうやね。『BLEACH』のおかげやし、w.o.d.として新しいことができた手応えがあります。

Rolling Stone Japan 編集部

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