PassCodeが語る、ポストコロナの「ライブ」を再構築する理由

全員が楽しめるライブを探求

―何年か前、南さんは「お客さんに注意をしたりすることでライブをあんまり止めたくない」って話してたと思うんですけど、今それができるのはなんでだと思いますか。

南 嫌われてもいいかなって思えるようになったから。昔は、自分に対して批判が向くことですごく悲しくなることが多かったんですけど、今は、「結果的にPassCodeにとってプラスになることが私にとってのプラスになる」と思えてるんですよね。そのときは何か言われたり批判されたとしても、PassCodeの状況にとって一番いいものを選んで、ちゃんとみんなを導いていければそういう批判もなくなっていくのはわかってるから、前よりも思ってることが言いやすくなった。昔は子供やったのもあるし、傷つきやすかったから。感受性が豊かなもんで(笑)。

―はいはい(笑)。

南 だから、みんなの意見をいちいち真に受けて落ち込んでたけど、今はまるっと、ふわっと受け取る。「あ、そういう考え方もあるよね」って。そうやって「全部の意見を通すことはできへん」っていうのを念頭に置いて動くようになったらすごく楽になりました。大人になりましたね。もう27なんで(笑)。

―ゼロからフロアを再構築する上で、客席のエリア分けをすることにならなければいいなと思ってます。

南 うーん、私もできればしたくないんですよ。でも、お互いが間を取ってっていうのが一番難しくて。どうしてもエリア分けしてほしいっていう意見が多くなったら、もしかしたらそうしないといけないのかなと思ったりもするんですけど。

―嫌ですね。

南 ね。私もそっち派です。コロナ禍前からずっとそう思ってたけど、たとえ観られる場所が端っこになったとしてもそういうゾーンがあったほうが嬉しいですっていうのもひとつの意見やなあって思っちゃうから、難しいよなあ。悩み中。

―今の南さんの話を受けて、どう思いますか?

大上 もう、おんなじ。ホンマにおんなじ。もう、願うはただひとつなんですよ。全員が楽しんでくれることしか望んでないから、難しいかもしれんけど……。まあ、難しいって言っても、ライブを観に来てくれた人が全員楽しいと思えるって別に簡単ちゃ簡単だと思うんですけど。

有馬 思いやりが大事ってことやわ。

大上 そう、そうなの。「僕もあなたも楽しもう」って思ってくれたらな。いろんな見方があると思うけど、みんな楽しめるようになってほしいから……でもそれが難しいんか……。

南 ね。

―PassCodeはいま、新しいカルチャーを作っていると思ってて。メタルシーンだとこう、パンクシーンだとこう、アイドルだとこう、J-POPはこうっていう定型にPassCodeは完全に当てはまらないじゃないですか。だから、PassCodeにはPassCodeの考え方があって、そこから生まれるベストなやり方を貫こうと努力している。ほかのシーンに同じ形はないから本当に大変だけど、そこは4人がお客さんをイチから教育していかないといけない。それを怠らずにやっていけば、きっとPassCodeの形というものはできるし、その形は他のグループにも広がっていく気がしていて。

南 PassCodeってわりとずっとそういうグループで。曲調とか、ライブの見方とか、お話するMCとかもそうやし、そういったことひとつずつ、やり始めた当初はネガティブな意見をたくさんもらったりしたけど、今となっては普通になってることのほうが多いと思うんですよね。それに、ひなちゃんが言ってた「全員楽しい」を諦めるのってステージに立つ人間がやることじゃないって思うんですよ。



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