突拍子もないことにいろいろ挑戦したりできるようになった
―僕は今回のツアーにすべて帯同して、ステージの表も裏もすべて見ていますけど、今回はバックヤードの雰囲気がすごくよくて、それがパフォーマンスにもいい影響を与えているように見えるんですよね。5月28日に行われたZepp Hanedaでのライブも、始まる前にほかのスタッフと「今日、なんか雰囲気いいですね」って話していたら、それがそのままライブにも出ていて。何か変化があったんですか。
南 私、意外とナイーブじゃないですか。そういう自分のテンション感でその日のライブの雰囲気が左右されるなっていうことをここ何年か思ってたんですよね。それから意識して明るくするようにしてるっていうのはあると思います。
―うんうん。
南 あと、今回はお客さんと一緒に声を出したり、盛り上がったりできるようになったツアーやし、全体的な温度感を上げたいから、ライブ前にメンバーとバンドメンバーと円陣を組むときに、声出しのきっかけをいきなりバンドメンバーに振ったりして、いつもやったら自分1人で完結してたことでも敢えて誰かに頼ったりするほうが全体的な空気感がよくなるってことに最近気づいて。だから、「ここはこうしないと」っていうのをあんまり意識せずに、フリーな感じで楽しくすることを意識しながらやってますね。
―ライブ中にお客さんに自分のスマホを渡してステージを動画で撮らせたり、ハプニング的な仕掛けをするのもその一環。
南 そう。今みたいな状況になってからいろんなライブを観に行ったけど、ステージに立ってる側が楽しそうなライブが一番楽しくて。その空気感が持つ力っていうのは、メンバーだけじゃなくて、バンドメンバーとかチームのみんなを巻き込んでいくことでもっと大きくなるし、メンバーだけじゃなくて、もっと大きい輪を意識して面白いことができたら一体感が出るんかなって思うし、お客さんにももっとライブに参加したいと思ってもらえるんじゃないかなって思うから、今回はそういうことをけっこう意識して雰囲気作りはやってます。
―その手法はかなりハマってると思いますよ。
南 ね。でも、今回みたいなワンマンやったらそういう感じでもいいと思うけど、ピリッとしたライブもやりたいから、そうなるとやっぱり対バンもしていかないとあかんし、これまでよりもライブの本数を増やしたい、もっとライブがやりたい。
―それにしても、観客にスマホを渡すのはすごいですよ。受け取ってそのまま逃げられたら終わりだし。
南 でも、前にトークイベントをやったときに自分の携帯の暗証番号まで言っちゃってるけど、別に見られたところでダメなものはないし好きにやってくれたらいいかなって。それに、もしそのまま持っていこうとする人がおっても、周りのファンが止めてくれるだろうし、信頼関係があるから大丈夫。
―南さんの中で何か吹っ切れたところがある?
南 うーん……今のメンバー編成になる前はライブを完遂できるように導くことが自分の役目やと思ってたけど、メンバー編成が変わったことで自分のやり方も変わったし、グループとしてのライブのやり方も変わった部分があったりして、そんな中で自分のことをもっと考えるようになったところがあって。それに私がちょっと無茶したとしても「ま、大丈夫かな」って思えるから、突拍子もないことにいろいろ挑戦したりできるようになりましたね。
―すごくいいと思います。
南 ね。ライブ感が出ましたよね。
―そうそう。あと、そういう無茶苦茶を許容できるチームになった部分もありますよね。
南 そう。メンバーがっていうだけじゃなくて、バンドもやし、スタッフもやし、ファンの人もみんなが<PassCode>という形に慣れた感じがする。