50年前の未解決事件、音楽フェス目指しヒッチハイクの旅に出た高校生は今どこへ? 米

ミッチェルさんの親友スチュアート・カルテンさんは、サリバン郡保安官事務所がサマージャム50周年を利用して、各種ソーシャルメディアやwebサイトに通知し、ミッチェルさんとボニーさんの写真を掲載して一般から情報提供を募るべきだと感じている。

「僕らが知る限り、警察はまだ着手していません」と言うカルテンさんは、2人についての専用webサイトを運営している。サリバン郡の刑事は行方不明者専門のwebサイトやpodcastを捜査に加えるべきだ、とも語っている。そうすれば、数千人の自称「ネット探偵」が独自のやり方で点と点をつなぎ、当局が見落としたことを発見できるかもしれない。

他にも重要な対策を講じることができるかもしれない、と行方不明者の捜索に詳しい専門家、家族、友人は言う。

スミスさんをうそ発見器にかけるのも一案だ。「彼の話の信憑性が高まるかもしれません」とストリーヴァー氏も言う。連邦警察と州警察が合同捜査班を立ち上げ、3つの州にまたがるサスケハナ川沿岸のすべての郡で、身元不明や引き取り手のない死体を調べるのもありだろう。2013年にバーンズ刑事の興味をひいた今は亡き容疑者の経歴を、ニューヨーク州警察が調査することも可能だ。バーンズ刑事がボニーさんだと考えた謎の写真を、最新技術で分析するのもいいだろう。

ジョーンズ氏は、ミッチェルさんがいいカメラを持っていた点を指摘し、贈り物として誰かの手に渡った可能性があると述べた。ただし、警察は具体的なカメラの型番を公開していない。これがわかれば、手がかりとして証言の裏どりができるかもしれない。「もし誰かがカメラを受け取ったことを覚えていて、フィルムにミッチェルさんとボニーさんが写っていたら?」と、『The Vanished』でジョーンズ氏は問いかけた。

「事件がどんなに古かろうと関係ありません」とジョーンズ氏は続けた。「あらゆる手がかりを追いかけ、事件解決の糸口になるかもしれないという風に扱うべきです」。

先月警察当局は、情報提供に基づいて10年前に掘り起こしたウェインで再び掘削作業を行ったそうだ。当局は55ガロンのドラム缶を回収したが、中には石しか詰まっていなかった。

ミッチェルさんとボニーさんの家族や友人はほとんど他界しているか、年老いて記憶が薄れている。答えを求め続けること50年、現在66歳のカルテンさんは7月27日――2人が失踪したまさにその日――最後にもう一度だけ悲しみに暮れることにした。50周年が報道されることで新たな反応が出てくることを願いつつも、身を引くことを決意した。カルテンさんは裏庭に2本の木を植えた。ミッチェルさんとボニーさんの名前を刻んだ碑も建てる予定だ。「なぜ自分はこれだけ長い間執着してきたのかと自問するんです」と彼は打ち明けた。「その理由は、これが自分だったらミッチェルも同じことをしていたと思うからです」。

ボニーさんの母親レイさんは、晩年アルツハイマー病を患っていた。「ある日コニーアイランドの桟橋を歩いていたら、私にはもう1人子供がいたかしら、と母が尋ねたんです」とケイゲンさん。「ボニーのことを全部話しました。すると母はこう言いました。『思いだせないわ。でもその方がいいわね、あまりにも悲しすぎるもの』」。

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from Rolling Stone US

Akiko Kato

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