SKY-HIが語る、「刃牙」シリーズと「THE FIRST」の共通点

SKY-HI(Photo by Mitsuru Nishimura)

SKY-HIとBE:FIRSTによるスプリットシングル『Sarracenia / Salvia』がリリースされた。この2曲は以前からSKY-HIが大ファンであることを公言していた「刃牙」シリーズのアニメ「『範馬刃牙』地上最強の親子喧嘩編」のオープニングテーマとエンディングテーマ。

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主人公の範馬刃牙とその父親である範馬勇次郎との関係を、BE:FIRSTとそのプロデューサーであるSKY-HIの関係とリンクさせて、SKY-HIが勇次郎目線、BE:FIRSTが刃牙目線を表現したコンセプチュアルな作品となっている。今回のSKY-HIへのインタビューでは楽曲制作の裏側に加え、「刃牙」シリーズと「THE FIRST」の共通点、SKY-HI自身と父親との関係性、マッチョイズムとの距離感など、幅広いテーマで話を聞いた。



ー日高さんは以前から「刃牙」シリーズのファンであることを公言していましたが、改めて、日高さんの思う「刃牙」の魅力について話していただけますか?

SKY-HI:パッと浮かぶものが2個あって、まず1個目はキャラクター。最近のいい漫画の潮流にもなってると思うんですけど、主人公以外のキャラクターに人格とストーリーがしっかりある。モブキャラがいないというか、装置になってないというか……装置っていうのは、キャラクターの誰かが毎回かませ役になる、みたいなことですけど(笑)。

ー周りを引き立てるために置かれる、ということがないと。

SKY-HI:それぞれのキャラクターの人生がちゃんと存在する。っていうことが一つと、二つ目はそれがすごく濃いということ。現実的にはギリ不可能な、漫画的なレベルのことにはなるんだけど、実際に人生を生きているレベルのキャラクターたちが、それぞれの哲学をぶつけ合うから美しいっていうのはすごく感じます。

ーまさにそこが「刃牙」の魅力であり、言ってみれば「THE FIRST」もそうだったと思うんですよね。もちろん「刃牙」ほどの漫画的な要素はないけど、「THE FIRST」もモブキャラはいなくて、オーディションの参加者がそれぞれの人生を背負って、競い合ったわけで。

SKY-HI:前に板垣先生(「刃牙」シリーズの作者・板垣恵介)とお話をさせていただいたときに、『範馬刃牙』のエア夜食のシーンは書き始めるまで自分でもどうなるかわからなかった、みたいな話をされてたんです。本気でやってるとドラマが生まれるけど、それがどう転ぶかは本当にわからないとおっしゃっていて、それを聞いてびっくりもしたし、すごく嬉しかったんですよね。創作物として捉えたら、おそらく最初の段階で、想像のカマキリと戦ってる時点で完璧な帰結を考えて、そこに向けて1話を始める気がするんですよ。でもそうじゃなくて、本気でやってると最初から練ったものよりよく練られたドラマが生まれたりするわけで。



ー漫画を描くこと自体がある種のドキュメンタリーで、そこもオーディションとリンクする部分かもしれないですね。

SKY-HI:そうですね。だからホントに本気で描かれてるんだよなっていうのをすごく感じます。「刃牙」シリーズの中でも『範馬刃牙』が一番好きなんですけど、多分その頃の「刃牙」って、数字に左右される状況じゃなかったと思うんです。もはやカルチャーとして存在してたから、週刊連載の都合に人物が左右されてない感じがすごくしますよね。作品によっては左右されまくってることがわかっちゃうわけじゃないですか(笑)。でも『範馬刃牙』はそうじゃないから、板垣先生の「これを描きたい」っていうエゴとリアルのハモリがすごい。俺ピクル編がすげえ好きで、あれがあるのめっちゃ大事だし、あのドラマが同時に進行していることがすごく意義深いと思ってるんですよ。本筋じゃないところで本筋が起こるっていうのは、普通にあることじゃないですか。

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