miletが明かす『5am』で曝け出した「私の内側」、アジアでの熱狂的人気に思うこと

 
アルバムの中核を担う2曲

―「Living My Life」はドラマ「転職の魔王様」の主題歌でありつつ、歌詞にも“5am”と出てくるように、コンセプトの核を担う曲なのかなと思いました。MVも最高ですよね。

milet:あ、嬉しい。

―歌詞だけ読むと、“泣けない日も笑えない日も 負けない日を重ねながら ここにいる”というフレーズを不特定の誰かのために歌っているようですけど、ライブやレコーディングの裏側を収めたドキュメンタリーテイストのMVが備わることで、miletさんが自分自身に向けて歌っているとも解釈できるようになる気がして。

milet:そうですね。まず曲を作るときに、みんなに届けたい気持ちもあるんですけど、まずは自分に届けたいっていう思いがあって。自分に響く歌でありたい、自分の言葉に嘘はないか、みたいな。そこはすごく大事にしているんですけど、この曲のMVで補足することができたかなと。

あとは『5am』にグラデーションがあるのと同じように、みんなに見てもらっている私、ステージ上での表情や振る舞いとはまた違う私もいるんですよね。ステージに出てくる直前の私はこんな感じだったり(固そうな表情を浮かべて)、同じ人でも多面性がすごくあるはずで。それでいいと思うんですよ。私もすごい笑顔のときもあれば、落ち込んで口をつむいじゃってるときもあるけど、そんな自分も私は好きだから。そういうありのままの姿も捉えたショットが多いMVになりました。



―アーティストにも日常があって、葛藤する時間もある。そこが描かれてるのがいいなと思いましたし、miletさんの一貫したテーマである「孤独との向き合い方」が一歩前に進んだようにも感じたんですよね。自分の弱い部分を曝け出してもいいんだ、みたいな。

milet:たしかに。孤独と共存するっていうのは一つのテーマで、自分のなかにある孤独に対しての考え方も多岐になってきているし、受け口が広くなっているような気がします。みんながいるから感じる孤独と、本当にどうしようもなく救いようもない孤独と、遮断したいときの孤独と……いろんな人やものと触れ合うごとに、孤独って比例するように増えていって。種類もそうだし、時間もそう。孤独を感じない時間が増えるたびに、どんどん孤独の時間が増えていく、みたいな(笑)。ただ、その孤独に対応していくための術も見つけてはいるので、曲のなかにもそれが現れているんだと思いますね。

―「Living My Life」は音楽的にも一つの到達点というか。ストリングスなども入っているけど空間があって、シンプルな作りで深い情感を表現しているように思います。

milet:そうですね。鐘の音やストリングスの音作りにもこだわったので、そういう聞かせたい音をシンプルな音作りによって輝かせたかったのはあります。あとはやっぱり歌詞を聞かせたい、聞いてもらいたい言葉がたくさんあったので。そこで音が詰まりすぎていると、みんなが想いを馳せる隙間がなくなってしまうと思ったんですよね。あえて音的にも行間を作ることで、それぞれの経験とか想いを(歌詞に)重ねられるんじゃないかなと思って。



―あとは「Hey Song」も重要曲じゃないですか。

milet:この曲も大好きです! マックス(Max Hershenow)というアメリカ人のアーティストがたまたま日本に来ていて、彼はドック(Ryosuke“Dr.R”Sakai)と仲良しで、3人で初めてセッションした曲ですね。もともと、みんなのコール&レスポンスを取り入れた曲を作りたいなと思っていて、マックスと一緒にやってみようと。

―この曲はmiletさんが愛するファンクラブ『miles』の会員限定ライブ「milet×miles Room #301」(6月に大阪・東京で開催)で初披露され、そこでレコーディングしたファンの声が使われているんですよね。

milet:そうそう。どうせなら誰よりも私のことを好きで、私も好きな人たちの声を収録できたらいいなと思って(笑)。そのコール&レスポンスも何よりも簡単で、“Hey”と“Whoa”だけ。基礎中の基礎みたいな。その後もフェスで予告なしに歌ったんですけど、100パーセント完璧に返ってきますね!。“Hey”と“Whoa”は世界共通言語ですから。

@milet_official

―(笑)。

milet:あとは歌詞に“4AM”って出てきますけど、そこから「Living My Life」に出てくる“5am”までの1時間に何があったの?っていうくらい差がありますよね(笑)。でも、そんなことってザラにあると思うんですよ。5分前までパーティーにいるような楽しい気分だったのに、ふと周りを見渡すと、一気にひとりぼっちになってしまったような感覚に陥ることってあると思う。そういう心境やテンションの変化も、『5am』っていうタイトルにしたことで表現しやすくなったのかなと。

―こういうポジティブな曲があることで、『5am』全体の世界観にも広がりがもたらされているように思います。

milet:自分でもこのアルバムをよく聴いているんですけど、「Hey Song」がかかると自然と笑顔になっちゃいますね。この曲が呼び起こしてくれることはたくさんあって。デビューしてから今まで、自分の曲を誰が聴いているのかわからない不安のなかで歌ってきたんですけど、こんなにたくさんの声をもらうことができるなんて……。だから、これだけ明るい曲でも、自分にとっては奥深くまで潜れる曲なんですよね。

―2020年に1stアルバムを出した頃、コロナ禍でツアーができなくなって打ちのめされていたmiletさんを思うと、今こうしてファンと一緒に歌っているのは感慨深いものがあります。

milet:そういう意味でもすごく大切だし、自分のなかでも鍵になっている曲ですね。何よりこの曲は、一番好きな人達と作って、思い出を形に残せたことがすごく嬉しいです。

―グミ好きのmiletさんらしく、“食べ尽くした HARIBO”というフレーズも出てきますね。

milet:HARIBOさんからは許可をいただいています(笑)。

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