Ayumu ImazuとNovel Coreが語る、クリエイティブの美学、原点としてのストリート

―おふたりには、今の音楽業界ってどう見えていますか。

Ayumu:いっぱい思うことはありますけど(笑)。いい意味でも悪い意味でも、変化がすごく早い時代だなって思っています。新しいものがどんどん作られていくし、便利な時代になってきているので、パソコンさえあれば一人でも音楽制作が完結しちゃう。それは良い面でもありつつ、ずっと後世に残る名曲を作るのは難しいんじゃないかなって感じますね。

Core:俺はジャンルやキャリア、事務所、年齢といったカテゴリーごとの距離が、けっこう遠いなって感じていて。たとえばジャンル1つをとっても、J-POP、HIPHOP、ロック、R&Bみたいな感じで、それぞれが独立しているイメージがあるというか。カテゴリーを越えたアーティスト同士の絡みとかも、なかなか見られなかったりするじゃないですか。でも、純粋に音楽が好きな人たちからすると、いいものを一気に楽しめる場所があるに越したことはないはずなんです。だから、日本の音楽シーンとしては、ジャンルや種類の違うアーティスト同士がクロスオーバーして、一緒に何かをやる機会がもっと増えたほうがいいとずっと思っていて。それこそ海外だとさ。ケンドリック・ラマーのライブに行きましたって人が、翌週にBTSのライブを観ていても何も違和感がないじゃん。なんなら、同じフェスに2組がポンポンって出ていても違和感がない。


Novel Core

Ayumu:そうね。俺からすると、離れているふたつのカテゴリーを結ぶ橋が出来てきたイメージかな。海外でもHIPHOP界隈の色味は、めちゃくちゃ強いし。ポップスのど真ん中を取っているアーティストもいれば、もうちょっとHIPHOP色の強いアーティストもいる。1つ例を挙げると、PINKPANTHERESSっていうフィメールのアーティストは、テイストにHIPHOPを感じる一方で、曲調はY2Kを意識しているから可愛いくも聴こえるんだよね。MVやイメージのブランディングもポップでさ。だから、ケンドリック・ラマーを聴くようなラップがめちゃくちゃ好きな人も、すっげえBTSを好きな人もファンになる。

―とはいえ、すでにおふたりもジャンルを繋いでいくアーティストですよね。

Core:意識しているところは、けっこうありますね。

Ayumu:Core君がライブにyamaさんとかを呼んだとき(『WHAT’S THE ROCK TOUR vol.1』)、超面白いことやってるなって思ったよ。自分の界隈だけで終えてないというか。同年代で「こことコラボするんだ!」みたいな面白いことをやっているのは、唯一Core君だけなんじゃないかな。

Core:「両方一気に見たい」と思っているファンの人がたくさんいるって、体で感じる場面が本当に多くてさ。スタイルや種類が全然違うアーティストを一気に観ることができたときの感動みたいなものって、お客さんから伝わってくるし。もっとそういう場を増やしていきたいと、ずっと思っています。

―そういう場を今の音楽シーンに増やしていくためには、どのようなことが必要だと思いますか。

Core:もう団結しかないと、最近はずっと思っていて。特に年代の近い者同士の団結力は、すごく大事にしたいですね。ジャンル関係なく世代で団結して、いろいろ面白いことを考えないと。正直なところ、僕たちよりちょっと上の世代、それこそ日髙さんたちの世代の方々って、横の繋がりがすごく強いイメージがあるんです。たとえば、日髙さんとSiMMAHさんは、全然音楽のジャンルは違うけど同い年で仲がいい。しかも、あの年代の方々って、若いうちにイベントを立ち上げて、現在では自分たちのフェスを持っていたりもする。そこに全然ジャンルの違うアーティストを呼びこんだり、毎年何万人の動員を繰り返したりしているのは、僕には魅力的に映るというか。俺らの世代でもそういうことができないのかなって、すごく思うよ。この世代だけで集まってさ、何万人とか集めている光景を超見たいじゃん。

Ayumu:そうだね。僕らの世代はSNSで繋がれちゃうから、「深い関係じゃないけど一応繋がってます」みたいな感じで終わっちゃうケースがすごく多いかも。次の一歩のハードルが高いなって。

Core:知り合いになるまではめっちゃ簡単だけど、友達になって定期的にごはんへ行って話をしたり、一緒に何かを作ったりするハードルは、たしかに高いかもしれないですね。

Ayumu:あとは、曲だけ作って終わっちゃうとか逆に量産しちゃうとか。イメージ的には、どっちかかな。

Rolling Stone Japan 編集部

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