Ayumu ImazuとNovel Coreが語る、クリエイティブの美学、原点としてのストリート

―今の時代に人と人の関係を深めていくには、どうしたらいいと思いますか。

Ayumu:やっぱり見本になるようなことをスタートさせていくのがいいのかな。HIPHOP界隈って、フィーチャリングのカルチャーがあるから、いろんな人とポンポン関わっていくけど、そこからちょっと外れるだけで、フィーチャリングするのが大きなことってイメージが、すごく強いので。コラボやフィーチャリングまでいかなくても、もっとカジュアルに深い関わりを感じる作品を世界に発信していけば、何か変わっていくんじゃないかなと思います。

Core:リミックスとかね。「いいな」って思った曲があったら、自分のバースをスッと乗っけて、無料で見られるところにポンってあげてみるとか。そういうアクションがあるといいよね。

Ayumu:まさにJUNG KOOKの「3D」と「Standing Next to You」じゃない? ジャスティン・ティンバーレイクとアッシャーが、リミックスで乗っかるという。

Core:たしかに。ああいう流れがいいよね。見ていてテンションがあがるし。

―ちなみにお二人が、ここ最近で一番乗っかりたいと思ったトラックはどれですか。

Core:絶対にいっぱいあるわ。でも、最近だとヤングブラッドの「Lowlife」かな。ゴリゴリのHIPHOPバイブスがすげえ。ヤングブラッドは、ロックの畑にいながらHIPHOPが超大好きで、楽曲からも2000年代初頭くらいのHIPHOPに対するリスペクトや愛情が、すごく伝わってくる。豊洲にライブを観に行ったときも歌っていて、パフォーマンスしている姿を見ながら「これに混ざりて~!」って思ってました。

Ayumu:僕はジョーダン・ワードっていうアーティストの「SIDEKICK」。最近の僕が、めちゃめちゃハマっている人なんですけど、ルーツにダンスがあって、なおかつ曲もR&B調でかっこいいんですよ。

―お互いの音楽スタイルには、どのようなイメージをお持ちですか。

Core:Ayumu君本人も言ってたけど、J-POPがちゃんとルーツにあるじゃん。そのJ-POPのエッセンスが、曲にすごくカッコイイ入り方をしている印象が強くて。楽曲を聴いていて、すごくテンションがあがったっていうのはある。このルーツの混ざり方、めっちゃいいなって。海の向こうのものと国のなかのものが、すごくナチュラルに混ざり合ってる。

Ayumu:僕がCore君を一番かっこいいと思うのは、バチバチにラップができるのに歌もちゃんと大事にしているところ。俺だったら絶対に書けない歌詞だし、ワードセンスもめちゃくちゃ光ってる。歌詞の言葉づかいだけでなく、ストーリーの作り方やコンセプトもしっかりしているイメージがありますね。

―ぜひ、このタイミングお聞きしたいのですが、おふたりのクリエイティブにおける美学とはなんですか。

Ayumu:美学かぁ……。

Core:“けっして譲れないぜ この美学 何者にも媚びず 己を磨く”。

Ayumu:(笑)。

Core:いっぱいあるな。とはいえ、ライブとかでもそうなんですけど、発信している僕が主人公であることはもちろん、受け取る人たちも主人公になれるものを作りたいというのは、すごく大事にしているところかもしれないですね。だから、歌詞を書くときは一人称の使いかたをすごく気にするし、「この書き方にしたら、パーソナルすぎて俺が俺のことを歌っているだけになってしまうのではないか」とかも考える。第三者が受け取ったときに「自分がその曲の題材である」と感じられる音楽であることは、すごく大事にしたいなって。自分が幼少期に刺激を受けてきた音楽が、自分に向けて歌われているんじゃないかって、いい勘違いができる音楽だったんで。


Ayumu Imazu

Ayumu:僕もけっこう似ているところはあって、恋愛の曲にも取れるけど、友情関係や人生について書いているようにも思えるみたいな、いろんな解釈ができる歌詞を書くのがめちゃめちゃ好きなんです。でも、最近は変わってきているような感覚もあって。バシッとメッセージが熱い方がいいんじゃないかなって思い始めたんですよ。自分のなかでストレートに「俺はこれが言いたいんです」ってあっても、他の人が聴くと捉えかたが全然違うこともあるよなって。どちらかというと、ひとつの譲れない美学があるというより、「今はこれがしっくりくる」って感じなので、けっこうコロコロと変わっていってるかも。

Core:本当にどっちも魅力的だよね。めちゃくちゃストレートに「ありがとう」や「好き」っていうのもすごくきれいだし、「ごめん」の3文字で済むことを、わざわざ3分半くらいかけて、2バース2フックで歌うのが音楽の良さな気もしたりする。どちらも美しいと思うし、どちらに美しさを感じるかは、僕もAyumu君と一緒でその時々で違うかも。どんなときでも変わらないことは、その時の直観に素直に生きていることかな。

Ayumu:それは超ある。

Core:どのタイミングの表現にも嘘がないことは大切にしています。

Rolling Stone Japan 編集部

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