Ayumu ImazuとNovel Coreが語る、クリエイティブの美学、原点としてのストリート

―おふたりには、場所こそ違えど「ストリートライブをしていた」という共通の過去もありますよね。現在の日本は、どちらかというとストリートライブに肯定的ではありませんが、あのときの経験が現在の活動に活きていると思いますか。

Ayumu:自分のなかでは、めっちゃ活きていると思います。ニューヨークのストリートシーン、特にダンスは、カルチャー感が強いというか、コミュニティがしっかりと出来上がっていて。そこに乗りこんでいくとき、「どういう存在で観られるか」や「どういう存在になりたいか」といったこと大事にしていたのは、今に繋がっている気がしますね。カッコイイ衣装を着てメイクもしっかりしてステージで踊るときと、ダボダボでボロボロの服を着てニューヨークのサークルで踊るときでは、感覚のギャップが絶対にあるんですけど、原点にあるものは同じでありたい。

Core:俺の場合だと、パフォーマンスはもちろん、今の状況に慢心しないというか。恵まれている現状を当たり前だと絶対に思わない自信は、そこから生まれている気がしていて。自分のバンドメンバーにもよく話すんですけど、素通りされた期間がある人って、すごく強いと思うんです。必死こいて大きな声で喉が枯れるまで歌っても、誰も立ち止まってくれなくて、素通りされていくっていう経験をした人としていない人だと、どっちがいい悪いではなく、出てくる物の種類が違ってくるんじゃないかなって。雨が降り出したときも、スピーカーやマイクに傘を立てて、びっしょびしょになりながら渋谷の路上に立ち続けていた16、7歳くらいの頃の自分は、人からの評価ではないところに音楽を続けたい理由があった証明でもあるので。今では武道館でライブができるクラスにまで辿りつきましたけど、変な話、明日から急に自分のライブにお客さんが全く来てくれなくなったとしても、路上からやり直しだと言われても、音楽を続ける自信がある。それは、「人から評価されているから」とか「たくさん人が集まってくれるから」ではないところに、自分が音楽をやりたいと思う理由があるっていう自負があるから。そういう意味で、路上時代がすごく活きている気がしますね。

Ayumu:すっごく共感しました。きっと僕も、朝起きて自分の音楽を聴いてくれる人が0人になっていたとしても、音楽をやると思う。

―では、なんのために音楽をしているのでしょうか。

Core:来た! なんのために。

Ayumu:さっきCore君が言っていたことに繋がるんですけど、たぶんめちゃくちゃシンプルに音楽が好きなんですよ。母親に連れていかれてダンススタジオに通い始めた頃は、自分がやりたいからやっているという感覚が全然なかったんですよね。でも、アーティスト活動をしていくと、そこがないとどうしてもお客さんに届かないというか。「結局は何を見せたいんだろう」とか「この人は何をしたいんだろう」っていうのが明確じゃないと、伝わらないんだとめちゃくちゃ実感しました。だから、音楽をやる理由っていうのは、第一には自分のためだなって感じです。

Core:マジで一緒です。去年の中頃くらいまでは、すべての物事に出来る限りちゃんと理由をつけようと思って頑張っていた節があったんですけど、今年に入ってからは「もう理由をつけなくてもいいかも」って気がしてきて。ここ最近は「やりたいからやる」とか「好きだからやる」みたいなマインドに、すごく変わってきています。ライブがそれを教えてくれた感じがしますね。正直なところ、ライブをやるのもやりたいからなんだよね。元を辿れば、たくさんの人にアルバムの曲を知ってもらうためとかリリースがあるからとか何かしら理由はあるんですけど、フロントマンとしてマイクを握っている僕に関しては、そこに理由をつけなくてもいいと思ったんです。理由とか意義みたいなものは、お客さんやスタッフさんたちが作ってくれるので。最近の僕は「ファンに会いたいからライブをします」が、腑に落ちてます。ちょっと前にKANA-BOONのライブを観に行ったら、MCで「俺がライブをやるのは、君たちに会う口実作りなんだ」みたいなことを言ってて、それがすげえグッと来ててさ。たしかに会う理由作りだわって。

Ayumu:そこでしかないような気がする。

Core:素通りされた期間があったからこそ、自分の曲を好きで聴いてくれている人たちと直接会える機会って、なおさら尊くて大切だし。純粋に嬉しいし、楽しい。ライブ中の俺は、本当にびっくりするくらい何も考えてないからね(笑)。考えてないから、撮影で入ってるカメラの画角から何度も消える。

Ayumu:おもろ。

Core:それくらい無心になれるというか。ライブをしているときだけは、楽しいしか残らない自分自身になれるし、会場に来てくれたファンの子たちにも、楽しいしか残らない時間であってほしいなって思う。僕にとってライブや音楽は、そういうものかもしれないです。

Rolling Stone Japan 編集部

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