有元キイチが語る、生死の境界線、地元・多摩の原風景と向き合い生み出した金字塔

有元キイチ

1995年生まれ、東京都多摩市出身の音楽家・有元キイチが、4曲入りの1st EP『Tama,Tokyo』をリリースした。

ODD Foot Worksのメインコンポーザー/ギタリストであり、佐藤千亜妃(きのこ帝国)のサウンドプロデュースや三浦透子への楽曲提供など活躍の幅を広げている有元が音楽家として向き合ったのは、自身のルーツでもある地元・多摩の原風景。大学時代のジャズ研の先輩や音楽仲間たちをレコーディングに迎え完成させた4曲は、まさに金字塔と自身が語るほどの充実作に仕上がっている。そんな記念すべき1st EPについて有元に話を訊いた。

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──キイチさんが「2022年の春にODD Foot Worksを脱退しようとしていた」という話をceroのアルバム『e o』に宛てたコメントで読んでびっくりしたんですが、ソロ活動と脱退の話は、何かしら関連性はあったんでしょうか?

有元:その時、どこかでふんどしを締めないとという思いがあって。自分固有の作家性を磨きたいと思っていた時期だったんですよね。なぜかって言うと、三浦透子さんの「私は貴方」を書いた後ぐらいから、ズルズルやってもしょうがないと考える自分が出てきて。たまに出てくるんですよ、そういうモードのキイチが。でも、そいつによって進めてもらった人生でもあって。って感じで揺れ動いていた時に、メンバーと三宅さん(マネージャー/レーベルオーナー)とお話をして。結果、ODDは辞めずにずっと続けてるんですけど、その辺りから、自分の作家性とも向き合うソロを作りたいと思って制作に入ったんです。

──音楽家としての有元キイチの作品作りは、いつから自覚的に始めたんでしょう。

有元:2020年、コロナ禍に入ってすぐくらいからデモを作り始めた気がします。ODDのデモもそうだったけど、意外と世の中の混沌の時期に作品が作れちゃうっていう矛盾も自分の中ではありつつですけど。

──ちなみに、どういう環境で作り始めでたんしょう。

有元:誰に言われたかは忘れたんですけど、「ギタリストだからピアノで作ってみたら面白いんじゃない?」って言われたんですよね。ピアノってギターより分かりやすく平均律があるじゃないですか? ギタリストってチョーキングとかもあるから、どうしてもメロディーがラインにはまりにくい気がしていて。その矯正みたいなところもあって、ピアノで作り始めました。

──ギターから作る楽曲とは違う曲ができそうな手応えはあった?

有元:初めて曲を作った時のような感覚が戻ってきたというか。6年ぐらいODDの曲を作ってたから、どこかで「こういう曲を作るよね、自分?」ってなっていたと思うんです。それを外すことができたのは、ピアノを弾きながら歌うことが良かった気がしますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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