「個性」を活かしながら揃える
―2021年頃のインタビューでは「日本発のグループなので、まずは日本のグループならではの強み、核となるものを見つけていくのが、海外に向けても刺さりやすいのかなと思っています」と語っていましたが、現時点でそれは見つかりましたか。
WEESA:「日本のグループならでは」というわけではないのですが、個々の見た目や性格、音楽性がバラバラなのは、僕たちの強みだと思っています。
半田龍臣 :こうやってインタビューを受けていると、ふと「なんでこの7人が、ここでひとつになるんだろう」って思うくらいには、バラバラだもんね(笑)。
WEESA:個性が強いからこそ、全員でパフォーマンスするとダイナミックだし、どこの国へ行っても印象づけることができるはず。
JIMMY:揃っている美学もあれば、揃っていない美学もあると思うんですよね。PSYCHIC FEVERは、メンバーがいろんなルーツを持っているからこそ、誰が観ても勇気をもらえるグループ。僕らのパフォーマンスを観たら「こういうタイプの人もいるし、こういう形もあるし、こういう表現もできるんだ」って思ってもらえると思うんです。どんな人であっても「こういう型じゃないと、こういうふうになれない」とか「こういうふうじゃないとダメなんじゃないか」と感じて、ひとつの型に収まってほしくないので。言語に縛られず、そういったことを表現できるグループになりたいです。
半田:今のボーイズグループシーンでは、揃っているほうが主流かもしれないけど、せっかくいろんな国に行かせてもらっているし、僕らが新しい風を吹かせていきたいよね。
―個性を活かすということは、ダンスの面ではシンクロ率を高めるより個々の魅せかたを重視するということでしょうか。
渡邉 廉 :パフォーマンスに関しては、手の角度や意識、パワーバランス、表情、ステージに立ったときの温度感など、本当に細かい部分までメンバーで意見を出し合って揃えていますね。自分たちで作った作品を1度見直して、揃ってなかった部分を指摘しあいながら、厳しくやっていると思います。個性を活かしながら揃えるというか。楽曲によって調整しながら、メリハリをつけるようには意識しています。
―続いて1月19日にリリースされたEPについても、お伺いしていきたいと思います。今作の『99.9 Psychic Radio』は、どういった経緯で出来上がっていった作品なのでしょうか。
WEESA:僕たちの「Hotline」という曲に、JP THE WAVYさんがフィーチャリングで入ってくださったのが、そもそもの始まりですね。
小波津:それが実現したのも、WAVYさんが「Hotline」のリリックビデオを観て「こういう子たちいいよね」とSNSで投稿してくださったのがきっかけで。
WEESA:フィーチャリングした曲がめちゃくちゃかっこよかったですし、僕らとしても「また新しいものができた」という実感があったので、「Temperature」をプロデュースしていただくことになりました。「Hotline」の件があったので、めちゃくちゃカッコイイ楽曲ができると期待していたら、期待以上にめちゃくちゃカッコイイ楽曲になって。せっかくならフィーチャリングでも入っていただきたいし、全曲をプロデュースしてもらったEPが作りたいということで、『99.9 Psychic Radio』ができました。
―各楽曲について、お話をお伺いできますか。
渡邉:「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」は、全く新しいPSYCHIC FEVERの姿が見られる1曲。WAVYさん節のリリックが多く、僕たちにとっては初めての表現ばかりでした。デモを聴いたときは「僕たちで表現できるかな」というプレッシャーを感じましたし、実際に難しい部分もあったんですけど、WAVYさんが親身になって教えてくださったおかげで、僕たちの味にWAVYさんのスパイスが加わった、より新しい楽曲になったと思います。MVも本当にカッコイイですよ。
JIMMY:かっこよさを更新しましたね。
半田:今までラッパーだけの曲がなかった僕たちのことを考えて、WAVYさんが「ラッパーだけの声もいいから、一人ひとりにフォーカスを当てた曲を作りたい」と発案をしてくださり、できたのが「Psyfe Cypher」。歌詞には、それぞれがやってきたことにまつわるワードも入っているので、一人ひとりの成り立ちがわかるような楽曲になっていると思います。僕だったら“これ先頭打者ホームランボーイメジャーですよ No マイナー”みたいな感じ。また、今回は4人で歌っているので、個々のラップをちゃんと見せられると思います。やっと聴いてくれるみなさんに僕らのフロウをお伝えできる機会が来たので、早くパフォーマンスしたい気持ちでいっぱいですし、普段からラップを聴くかたにも聴いていただけたら嬉しいな。
小波津:「Temperature」は、流行のジャージドリルを取り入れたうえで、僕たちならではのR&BやHIP HOPの要素もある楽曲になっています。
中西:この曲に関しては、コード進行がシンプルな曲やベースのエッジが利いた曲を中心に、僕たちからリファレンスを出させていただきました。僕たちの意見を親身に受けとめ、今の流行とこれからのトレンドをミックスしてできたのが「Temperature」なんです。
小波津:「Hotline」から続く、自分たちのTemperature(体温)を感じてほしいですね。いつ聴いても心地がいい飽きない曲でありながら、サビはとてもキャッチー。自然と口ずさんでしまうようなパートが多いので、ぜひ一緒に歌ってほしいです。タイでパフォーマンスさせていただいた際には、応援してくださっている方々が日本語で一緒に歌ってくださったんですよ。
JIMMY:大合唱だったよね。
小波津:そういった面でも、国とか言語とか関係なく乗っていただける曲かなと思います。
WEESA:「Rocket (Take You Higher)」は「うるさいところから逃げて、ロケットに乗って2人でデートしようよ」みたいな楽曲。メロディーの聴き心地がいいですし、何回聴いても面白い1曲になっているんじゃないかな。リリックがストレートでありながら、表現がめちゃくちゃ面白くて。志君の“俺がアナキンだったら君はパドメ”っていうバースとか、すごくヒップホップっぽさがあるなと思います。
小波津:普段だったら絶対にしないようなラップにも挑戦したんですよ。そのおかげで、新しい自分に気づくことができました。