MAZZELのRANが語る、ダンサーからアーティストを目指した理由

ダンスを続けてきた理由

―きっと他にもいろんな苦労や葛藤があっただろうとは思うんですけど、なぜ今に至るまでずっとダンスをやめずに惹かれ続けてきたのだと思いますか。

もともと僕が――今もなんですけど――初対面の人と話すのが苦手というか、人見知りなところがあるんですけど、そういう面の自分と、ダンスを踊ってる時の自分が別人みたいで。ダンスを踊ってる時の自分の方がすごく心が解放されているような感覚があって。何も言わずとも身体を動かして、身体で表現できる特別さに幸せを感じることが小さい時から積み重なっていって、物心ついた頃に「やっぱり自分はダンスが好きなんだろうな」と自分で理解した感じでした。だから「やめたいな」「もういいや」とか思ったことがなくて。ダンスがないと生きていけないくらいの思考になるくらい打ち込んでました。ダンスがあれば「自分は無敵だろう」みたいな感じがありましたね。

―逆にいうと、学校や家族の中でのRANさんはどういう感じだったんですか。

小中の時とか、同世代の子と遊ぶことは少なくて。学校では話すけど、遊びに行くよりダンスをしてる時間の方が多かったので、そういうのも含めて、同世代の子たちとのやり取りに「うーん」と思ってる時もあって。成長するにつれてよくはなっていったんですけど。ダンスばかりの日々だったので、「こいつ、ダンスばっかやってんな」みたいな見られ方もしたり。家族的にはワンパクな子のイメージがあったと思います。ダンスばっかりやってるし、スーパー行ったらよく動くし、落ち着きないし、みたいな(笑)。

―同世代の子たちの中に「ここが居場所だ」と思える感覚がなかったらからこそダンスにのめり込んだし、ダンスにのめり込んでいたからこそ溝ができちゃっていたという。

そう、そういった時期がありましたね。

―MAZZELになった今も、RANさんにとってダンス表現とは心を解放できて無敵になれるものだという感覚は変わらないですか。

そうですね。今MAZZELとしてパフォーマンスしている中でも、ダンスは自分を解放できるものであるというところが一番大きな軸になっていますね。パフォーマンスしてる時の自分が最強だろうと思っている自分もいますし。でも、ただ踊るだけじゃなくてこうみせた方がいいなとか、グループとして踊る時にどうやったらよりよくなるかとか、色々分析して考える力は昔よりついてきた気がします。

―リスナーとしては、どういう音楽を好んで聴いてきましたか?

多分、特殊な方だと思います。ダンスばっかりやってきたが故に、一時期までほとんど邦楽を聴いてなくて、洋楽のダンスミュージックとかをずっと聴いていたんですよ。ダンスができる「音」がかっこいい、みたいな意識で。とにかく「音」にハマっていたので、歌詞がないビートだけのトラックとかを聴いたり、洋楽でも歌詞が音に聴こえるみたいな感覚でした。歌詞を意識して聴くようになったのは多分、中学の終わりとか高校に入ってから……自分がちょっと思春期に入る頃だった気がします(笑)。

―思春期の頃は何を聴いていたんですか?(笑)

カラオケへ行くようになった頃、お兄ちゃんが聴いていたORANGE RANGEさん、FUNKY MONKEY BABYSさんの曲にハマって、最初にカラオケでずっと歌っていたのは「花」(ORANGE RANGE)、「ちっぽけな勇気」(FUNKY MONKEY BABYS)とかですね。邦楽を聴いてなかったから歌える曲があまりなくて、周りが今の曲を歌うのを聴いて「こういう曲があるのか」「あ、この曲いいな」ってどんどん吸収していった記憶があります。

―ダンサーとして、人生で一番思い出深い曲とかはありますか?

今でも「この曲聴くとテンション上がるな」という曲でいうと、Dax Ridersの「You Are the Sunshine of My Life」。この曲は自分がポップダンスを好きになったきっかけというか。バトルでこの曲がかかったら盛り上がるような曲で、自分が好きなチームの方もこの曲で踊っていたりして、「この曲をかっこよく踊れることに憧れる」と最初に思った1曲でした。

―ちなみに、最近のお気に入りの曲は?

最近だと、ジェイコブ・コリアーの「Mi Corazón (feat. Camilo)」。ポップの曲がサビになっているんですけど、サビまではCamiloとジェイコブ・コリアーがすごく美しい歌声で歌っていて、「こんな綺麗な歌声をやったあとに、サビでそんな落とし方ある?」みたいな(笑)。ジェイコブ・コリアーはめちゃくちゃ好きです。声すら音にする考え方がすごいし、表現の新しさ、面白さ、独創的な考え方がとても好きで、尊敬するアーティストの一人です。

―ここでジェイコブ・コリアーが挙がるのは、やっぱりRANさんは「音」のユニークさに惹かれるんだなと思います。

ジェイコブ・コリアーも多分、自分と似て「音」が好きなんだろうなって。お客さんを巻き込んで音を作るみたいな、あのライブのやり方も好きですね。

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