評論家・能地祐子と読み解く、大滝詠一作品40周年バージョン

静かな伝説 / 竹内まりや



流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

『A LONG VACATION』と『EACH TIME』。それぞれ80年代初期を代表する日本のポップス史上に残るアルバムでもありますが、語るべきエピソードがそれぞれにたくさんあるという意味では例がないぐらいにドラマチックなアルバムじゃないかと思いますね。能地さんも言われていましたけども、『EACH TIME』が出たときはロンバケの印象が強かったのでちょっとひっそりしたアルバムだなと思ったんですね。大人っぽいというふうにも思わなかったのかなあ。でも、あのアルバムは『A LONG VACATION』が達成できなかったアルバムチャート1位になって、大滝さん唯一の1位でしかも3週間連続してるんですね。そういう聴き手の評価とか印象とか思ったこととか、色んな聴かれ方がされた結果でもあるんでしょうね。

大滝さんが亡くなった後に出た30周年の時に、能地さんが曲順を変えるだけでこんなに変わるのかというふうに書かれていて、それがあのアルバムに対しての答えになった気がしたんですよ。あ、そういうアルバムだったのかとあらためて思った。発売から30年経っているわけで、僕も全然当時の若いときの自分ではない、歳も重ねてきてその原稿を読んで初めてわかったような気がした。『EACH TIME』はこういうアルバムなのか。ロンバケとは全然違うアルバムなんだというのが見えてきて、それを今回40周年で本人に語っていただこうと思って今週と来週のゲストにお願いしました。「J-POP LEGEND FORUM」、「J-POP LEGEND CAFE」は大滝詠一から始まっている。そう思って4週間お付き合いいただけるとうれしいです。歴史に残るアルバム、歴史に残るアーティストだということがあらためておわかりいただけるのではないでしょうか。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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