ロジャー・ウォーターズインタヴュー:ジミヘンとのピンク・フロイドツアー、映画『ザ・ウォール』まで

Photo: (Jeff Siner/Charlotte Observer/MCT/Getty)


ーハリー・ウイザーリッジ市長からあなたの母親にあてた、父親の死を伝える手紙を見て、あなたは落涙していました。

これまでにあの手紙を見たのは10年ほど前の1度だけでね、それ以降は片付けてしまって見たことがなかった。私はそれを監督のショーン・エヴァンスに手渡して、「向こうに行ったら見ることにするよ」と伝えておいたんだ。それをあそこでやったわけだ。もう見ることもないと思う。

ーコンサート以外のシーンについては脚本があったのですか。

いやいや、全部ぶっつけ本番だよ。ガブリエル・シュヴァリエの本『フィアー』(Fear)を持っていくことは考えていた。あの本には感銘を受けたからね。第一次大戦での彼自身の経験を描いていて、実にいい本なんだ。ジョン・バーガーが書いた序章を私が墓場で読み上げるシーンは良かった。あれはすごくいい文章だから、計画していたことだった。「彼らは絶望していた」っていうやつだね。でもそれ以外には、たとえば子供たちにどんな話をするかも決めていなかったし、クルマの中で何をしゃべるのかも未定だった。ただ起きたことを撮影しただけだよ。

ーあなたが運転中の車窓に、草原でナチが司祭を射殺するという、不穏な風景が流れます。あれはどういう意味なのですか。

マーティン・スコセッシから、彼が作った『イタリアへの旅』(My Voyage to Italy)というドキュメンタリー作品のDVDをもらってね。それはイタリアン・シネマのポスト・リアリズムについての作品だった。私も映画のことなら知っている。『戦火のかなた』、『無防備都市』、そしてもちろん『自転車泥棒』だよね。で、『無防備都市』の中に、カトリックの司祭、ドン・ピエトロが、銃殺隊の前に連れ出されるシーンがある。ところが、イタリア人がいっこうに撃たないものだから、ドイツ人将校が司祭に近づいて頭を撃ち抜いてしまう。で、私が撮ったあのシーンだけど、「『無防備都市』に賛意を示したいから、ナチと司祭を草原において、車で通りすぎる時に射殺してほしい」と頼んだんだ。まともじゃないアイデアだと思うかもしれないけど、特に(『ザ・ウォール』の舞台演出で)バグダッドでの巻き添え爆撃映像と一緒に流すと、感情を強く揺さぶるね。やりたかったことがきっちりとできたよ。

ー観客の視線でラッシュを見て、どのような感想を持ちましたか。

良かったんじゃないかな。正直、普段は自分の顔は真正面から鏡で見るだけだし、それがベストアングルだと思っているから、「つまらん。この老人は誰なんだ?」と思っていたよ。まあ、もう70歳なんだからどうしようもないよな。でも、制作やパフォーマンスのエネルギー感や、観客の反応はすごく良かった。気に入っている。

Translation by Kuniaki Takahashi

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