最高のロックをフィーチャーした、映画史に残る名シーン30選

22位
オーティス・レディング「トライ・ア・リトル・テンダネス」
『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986年)

フィルムに収められた史上最低のダンスが、完璧な青春映画の完璧なロックンロールのシーンを演出している。ジョン・ヒューズ制作の映画『プリティ・イン・ピンク』のサウンドトラックでは、ザ・スミス、エコー&ザ・バニーメン、オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークなどのニューウェイヴの楽曲の方が注目されがちだ。しかし実際は、ジョン・クライヤー演じるダッキーがオーティス・レディングのソウルの名曲に乗せてモリー・リングウォルドに愛を歌うシーンこそが、最高の見せ場だ。ダックマンの間抜けな踊りは「クール」や「ファンキー」という表現からは程遠く、とても「人間」とは思えぬ動きだが、彼は口に出してモリーに告白できないため、彼が心の中に溜め込んだ彼女に対する感情を吐き出すためには、この曲が必要だったのだ。ドタバタ喜劇であると同時に、本物のロマンスでもある。正にロックンロールのコンボだ。ダッキーのレガシーをよそに、ジェイ・Zとカニエ・ウェストはこの曲をサンプリングして楽曲「オーティス」を作った。彼らの度量の広さが現れた曲だ。



21位
ザ・ドアーズ「ジ・エンド」
『地獄の黙示録』(1989年)

ベトナム戦争をテーマにした映画にはクールな楽曲が付きもののようだが、それは全てフランシス・フォード・コッポラに倣ったものだ。ザ・ドアーズの「ジ・エンド」をサウンドトラックに採用してヒットしたのは、『地獄の黙示録』が初めてではない。マーティン・スコセッシ監督の『ドアをノックするのは誰?』(1968年)でも既に使用されていた。しかし『地獄の黙示録』では、戦争で冒されたマーティン・シーンの脳内に「ジ・エンド」が入り込み、亡きジム・モリソンの心の闇とオーバーラップする。同作品はモリソンの死後の人気を全く新たなレベルへと押し上げた。数年後ジム・モリソンは、「彼はホットでセクシーだが、もう死んでいる」という最高の見出しでローリングストーン誌の表紙を飾った。




20位
バウハウス「ベラ・ルゴシズ・デッド」
『ハンガー』(1983年)

吸血鬼を扱った映画は世の中に溢れている。しかし『ハンガー』ほどクールな吸血鬼映画は他にない。冒頭は深夜のニューヨークのゴス・クラブから始まる。バウハウスの「ベラ・ルゴシズ・デッド」に合わせて皆が踊りながら盛り上がっている。デヴィッド・ボウイとカトリーヌ・ドヌーヴ演じる吸血鬼の能力を持つカップルがダンスフロアをうろつきながら、4Pに誘い込むための美味しそうな獲物を物色して回る。彼らはセクシーなブラックレザーのゴス・ファッションに身を包んだ若いカップルを誘い出し、吸血鬼の館へ連れ帰った。吸血鬼は牙をむき、あっという間に2人のクラブキッズは餌食となる。Undead, undead, undead……死してなお生き続ける。



19位
ザ・ローリング・ストーンズ「トップス」
『アドベンチャーランドへようこそ』(2009年)

ストーンズの楽曲は、「テル・ミー」(『ミーン・ストリート』)、「サティスファクション」(『地獄の黙示録』)、「アイ・アム・ウェイティング」(『天才マックスの世界』)など数多くのヒット映画を彩ってきた。そして「ギミー・シェルター」といえば、ストーンズ・ソングのロバート・デ・ニーロだ。どの映画監督も自分の作品に合うか合わないかにかかわらず使いたがる。なぜならストーンズの曲もデ・ニーロも作品に間違いなく大きなインパクトを与えるからだ。しかしアルバム『刺青の男』のB面から隠れた至宝を発掘した点は、並のイマジネーションではない。同映画に使用された他の楽曲と共に「トップス」は、ありふれた中西部の遊園地に漂う80年代のどこかの街外れの雰囲気を凝縮している。同曲は、ショッピングモールのクイーンであるリサP(マルガリータ・レヴィエヴァ)が華々しく登場したところを、地元のオタクたち(ジェシー・アイゼンバーグとマーティン・スター)が「あの完璧なケツの形を見ろよ」と驚きの表情で迎えるシーンで流れる。


Translated by Smokva Tokyo

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE