はっぴいえんど、遠藤賢司、金延幸子など「日本語フォーク/ロックの源流」名曲15選

五つの赤い風船「血まみれの鳩」(1969年)


URCの第一回配布作品であるスプリット・アルバム、『高田渡/五つの赤い風船』に収録された、西岡たかしによるオリジナル曲。ディレクションは加藤和彦が務めた。プロテスト・フォークの影響下にありながら、シュールな手触りの歌世界を展開。穏やかな語り口で伝える物語は寓話的だが、強烈な色彩を伴って聴き手の五感を刺激する。西岡たかしがシュールさを増幅させた木田高介、斉藤哲夫との共演盤『溶け出したガラス箱』(70年)や、多重録音を駆使したソロ作『満員の木』(73年)も必聴。


中川五郎「腰まで泥まみれ」(1969年)


スプリット・アルバム『六文銭/中川五郎』に収録、今も中川のライブで歌われる重要なレパートリー。1967年、ピート・シーガーの来日公演でこのプロテスト・ソングを目撃、すぐに訳詞をつけて歌い始めた、という伝説が有名だ。実際はシーガ―の来日より前にこの曲を知っていたそうで、それほど敏感なアンテナを持っていた恐るべき高校生シンガーであった。昨年発売された著書『七〇年目の風に吹かれ:中川五郎グレイテスト・ヒッツ』(平凡社)で、当時の活動や心境について詳しく語られている。


中川五郎


休みの国「追放の歌」(1969年)


休みの国は、2016年に他界した“カイゾク”こと高橋照幸によるプロジェクト。ジャックスのライブにローディーとして同行していた高橋と、ジャックスの谷野ひとしを中心にして発足。スプリット・アルバム『休みの国/岡林信康リサイタル』にも後期ジャックスの面々が協力した。最も大きな反響を呼んだのが「追放の歌」で、当時主流の直接的なメッセージ・ソングとは一線を画す、戯画的な筆致で真実をあぶり出す歌詞の鋭さは2020年の今も有効だ。のちに六文銭、斉藤哲夫もこの曲を取り上げた。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE