リンキン・パーク『ハイブリッド・セオリー』20周年記念盤、メンバーが語る名盤の舞台裏

チェスターとの出会い

司会のマット:ボックス・セット収録のCD『Forgotten Demos』には12曲の未発表デモ曲が入っているね。その中の一曲、「ピクチャーボード」について教えてくれ。



マイク:すごく面白かったのは、「ピクチャーボード」が19、20年存在してるっていうことを、ファンは知ってたんだ。でも、それがどんなサウンドかは知らなかった。で、このボックス・セットのためにモス・デフのヴォーカル・サンプルの許可を取って、発表できるようにした。この曲のオーディオ・クリップをファンが聴いて、2000年か2001年のロック・フェスティバルで、僕達がインタールードでこの曲を使ったことを発見してたよ。しかもファンは、そのパフォーマンスのインタールードに勝手に名前をつけてた。ネットで彼らと話していて、「それは君達がつけた名前だろ、何のことを言ってるのか分からないよ」って。だから、ファンに聴いてもらうのがすごく楽しみだよ。

ブラッド:俺の記憶が間違ってなければ、俺が初めてチェスターの声が入った曲を聴いたのは、この曲だったと思う。「こいつどう思う? デモを送ってきたんだけど」ってデモを聞かされて、嬉し泣きまではいかなかったけど、ほぼそんな気分になった。ヴァースは小さくて繊細なのに、ヘヴィなパートでは様々な音色やハーモニーが聞こえて、ぶっ飛ばされた。それで、「こいつに会おう」って言ったんだ。

—バンドとしてチェスターと初めてリハーサルをして、何か特別なものを感じた瞬間について話していただけますか?

マイク:僕達は、バンドのアイデンティティーや、バンドとしてやりたいことをすごく守ろうとしてた。フォーカスしていきたいビジョンがあって、でもそれはまだそこには存在してなくて、そのビジョンを固めたかった。だからチェスターが入って来た時、全員で、彼がどんなに才能に溢れているか、どんなに凄い歌声を持ってるかっていう話をずっとしてた。長年言ってることだけど、僕達がデモを作ってる間、チェスターもまた、どんなヴォーカリストになりたいかを見つけようとしている最中だった。彼は本当にユニークな表現ができたけど、このスタイルの音楽には何が合うか、バンドにとって何がベストを歌いながら探っていたんだ。その両方を同時にやっていて、僕はレコーディングをしながら彼がやることに反応して、そうしてゆっくりと、それが僕達のアイデンティティーに発展していった。

だから、彼が何かを歌って、「これだ!」って僕が興奮する瞬間があったというより、小さなステップを重ねて行く作業だったんだ。ボックス・セットに「シー・クドゥント」っていう未発表曲が入ってるんだけど、当時は気づいてなかったけど、これはすごくクールな曲で、歌詞に“君は一人じゃない”っていう一節があって、チェスターが曲中で叫んでなくて、ヘヴィなディストーション・ギターも入ってなくて、リズムトラック全体がほぼサンプルで、僕達とチェスターの関係の本当に初期に、「この曲はずっと後に、僕達のアイデンティティーの一部になる」って感じた。2007年とか2010年ぐらいの僕達の音楽の方向性を示唆していたんだよ。全てはすでにこのデモの中に入っていて、僕達はただそれを発見する必要があっただけなんだ。



RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE