リンキン・パーク『ハイブリッド・セオリー』20周年記念盤、メンバーが語る名盤の舞台裏

『ハイブリッド・セオリー』の呪縛とどう向き合うか

—香港人、アジア人として、リンキン・パークは私達が特に親近感や結束感を感じる存在です。マイクとジョーが、アジア人の血をひいていますし。それに、あなた方も信じていると思うのですが、音楽は世界共通の言語ですよね。『ハイブリッド・セオリー』が世界中で大きな共感を呼んだことについてどう思いますか?

ブラッド:活動を始めた時、俺達はどこに行ってもローカルバンドになれるだろうと思ってた。そして俺達は世界のどこでも、深い繋がりを築いてきた。アジアに行って、メンバーの大半がそこに行ったのが初めてで、英語が第一言語ではない場所で観客が俺達の曲を大声で歌い返してくれるのを聞いた時、感激した。君は共感って言ったけど、俺達の歌詞にもサウンドの中にも感情が込められてて、それが世界中の人達が共感できるものだったんだ。アジアでは特に、俺達はローカルバンドの気分だったよ。

ジョー:ブラッドと同意見だよ。それと、マイクとチェスターのコラボレーションに自然なダイナミズムがあって、歌詞もハーモニーも、二人のフロントマンがいることが、時々挑戦になったと同時に、僕達をユニークにしていたと思う。彼らは凄くパーソナルな出来事を曲にしていたんだけど、それが2つの視点から書かれていることによって、それらが合致する場所を見出す必要があった。でも、彼らは共通の土台を見つけて、それが凄く普遍的な感情に翻訳されたんだ。彼らは最高にパーソナルで、同時に最高に共感できる曲を作ることによって、人々の共感を呼んだ。二人は凄いよ。大変でもあったと思うけど、時間をかけていく間に、そのマジカルな瞬間がどんどん曲に出てきたんだ。



—『ハイブリッド・セオリー』は、あなた方にとって巨大な恩恵でしたが、同時に呪縛のような側面もあったかと思います。あまりにも素晴らしい作品だったために、多くのファンが、あなた方が新作を出す度に『ハイブリッド・セオリー』と比べていましたから。このアルバムの持つ二つの側面が、どのようにあなた方のキャリアに影響してきたと思いますか?

ジョー:その質問に答えるにはいい時だと僕は思う。僕達の過去20年の間、その時々でこのアルバムに対する気持ちは変化したけど、僕達は『ハイブリッド・セオリー』に匹敵する作品を作ろうと思うと同時に、進化して、別バージョンの『ハイブリッド・セオリー』を出していこうっていうやる気を持っていた。今でも、僕達が音楽を作る時はそれを目指して努力してるよ。このアルバムに僕達が少し引き止められてるような気がした時はあったし、何かを決断する時にも影響してた。

でも、このアルバムは僕達に偉大な機会をもたらしてくれた。ファンはこのアルバムが大好きで、それは何も悪いことじゃない。ファンが僕に声をかけてくれる時、このアルバムについて感謝されることが一番多いんだよ。このアルバムがどんな風につらい時期に助けになったかとか、このアルバムはアガるから聴きながらエクササイズするのが大好きだとかね(笑)。¥

ブラッド:俺はこのアルバムは、恩恵だったと思う。それ以外の何物でもない。当時は何が起こってるのが理解するのが大変だったけど、それでも恩恵だったし、今でも恩恵になってるからね。このボックス・セットに収録されてる本に写真があるんだけど、『ハイブリッド・セオリー』のロゴをタトゥーで入れてる人の写真なんだ。「この音楽が大好きなんだ。タトゥーを入れたんだ」って見せてくれた人に、数え切れないほど会ったよ。僕達はアーティストだから、そんなに責任があることしてくれて素晴らしいっていつも思ってた。それに、彼らにとってコミュニティの一員みたいな体験を提供していたとも思う。進化を遂げた俺達のキャリアを通して、彼らはずっと僕達の音楽に献身してくれた。このアルバムはその全てをスタートさせたアルバムなんだ。だから、このアルバムは恩恵だと思う。

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