☆Taku Takahashiが語るblock.fmの10年間、これからの展望

ー2020年代に入って再びレイヴカルチャーが盛り上がりを見せています。block.fmを10年やられてきて、ダンスシーンの変遷をどのように捉えられていらっしゃいますか?

block.fmを始めたときは、エレクトロの盛り上がりが大きくなってきた時期だったんです。そこから EDM が盛り上がり、ディスコ箱は強いけど大きい音箱が苦しくなっていった。その後、ようやくまた小箱が面白くなってきたんです。音楽だけじゃなくて、アートディレクターやフォトグラファーとか、若い世代の子たちが先輩たちの目を気にしなくていい環境で面白い空間を作り始めてきた。その動きが大きい箱に繋がっていくタイミングでコロナになったんですよね。大変な時期が続いたところから、再び新しい回帰としてレイヴとかがまた上がり始めてるんじゃないかな。ただ、エンタメ全体が細分化され、リリースの数もすごく増えてるし、遊ぶ場所もいっぱいある。そういう状況の中で、どうやって発信していくかがすごく重要なところなのかなと思います。

ーPodcastやYouTubeなど、個人で音声配信をする敷居も下がってきていると思います。そういう中でblock.fm としての強みをどういうところに感じてらっしゃいますか?

やっぱり集合体である、という部分ですよね。個人がどんどんコンテンツを出せたりするんですけど、やっぱり膨大なデータの中では点になっちゃうんですよ。どうやって線にするかが大切で。コンテンツがたくさんあるんだけど、点になっていて、繋がりづらい状況の中で、block.fmはそういう線になれるようになりたいと考えています。

ーラジオってリスナーとの交流が生まれやすいメディアだと思うんです。block.fm のリスナーとの間にそうした交流や共犯関係みたいなものが生まれている実感はありますか?

block.fmに参加した人たちって、根底は音楽好きの人たちが多いんですよ。音楽好きイコール、他のアーティストの曲も聴きたいって人たちが多い。そういう人たちが別の番組を聴いてくれて繋がったりすることが多いんです。リニューアルして3週間経つんですけど、そうした別の番組へと繋がりをさらに感じ始めている実感はありますね。ここからさらに、情報を知ってることによって音楽がもっと楽しくなるとか、曲の聴こえ方が変わるとかってことを、いかにもっと体験してもらえるかが重要なことで。今ある状況をしっかりとより良くして、もっと強くするっていうことが、今、重要項目かなと考えています。

ーblock.fmが、ラジオだけでなく活字メディアも始められた理由は何なんでしょう?

これ(スマートフォン)です。スマホって、電話でもあり、テレビでもあり、ラジオでもあり、プレイヤーでもあり、新聞でもあり、雑誌でもある。1個の端末でいろいろできるようになった。その人のライフスタイルの中で、今は文字を見たい、今音聞きたい、今映像で見たいって、状況によって同じ情報でも選択したいものが変わってきている。それを体験させられる状況を作らなきゃいけないなと思ったのが大きいです。あと音声メディアにできることと、活字メディアができることって違うじゃないですか? 活字メディアって、編集されているから面白いと思うんですね。いい文章でも編集力がないと伝わらなかったりする。大事な部分の展開を作っていって伝わるが大事だと思うんです。同じ情報でも、それぞれの特性があって、伝え方が変わってくる。TPO にあったメディアの発信があって、それでラジオも記事も両方あっていいんじゃないかなっていうところから始めたんです。

ー情報を伝えていくことを立体的に考えてらっしゃるんですね。

block.fm のラジオで面白い放送があったら、それを文字起こしして記事にすることもあります。音を出せないときは文字で読んで、その後ラジオを聞いてみようってことができるし、そういう使い方をするのが当たり前になってきてるんじゃないかなって思いますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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