I Don't Like Mondays.が語る、洋楽マナーを取り入れた新しいJ-POP像

ーバンドとしてのアイデンティティが掴めた今、音楽性の軸はどういうところにあると考えていらっしゃるんでしょう。

YU:メンバーそれぞれ好きなジャンルはバラバラだけど、ルーツは洋楽にあって。これまでは、洋楽的なエッセンスを日本の人たちにも聴きやすくチューニングする作曲が多かったんです。でも今は、コロナ禍になって音楽の聴き方が変わったり、言葉というものを上手く置かないといけないマインドセットになっていて。僕らはJ-POPというマーケットで音楽をやっているので、J-POPの世界にどう切り込んでいくかにミッション性やおもしろさを感じています。そこからどう化学反応を起こして、日本の歴史になかったJ-POPを作っていけるかと考え方が逆になったんです。今までJ-POPのヒットチャートもあまり見てこなかったんですけど気にしてみたり、歌謡を勉強したり。「こういうトレンドもあるんだな」と理解してから、「じゃあ僕らは今何ができるんだろう」と考えるようになりました。そのマインド自体が今のI Don’t Like Mondays.のフェーズだなと思います。

SHUKI:YUが言ったみたいに、J-POPの中でどうやっていくかを考えていて。ただのJ-POPをやってもおもしろくないですし。洋楽マナーを多めに使ったJ-POPという感覚はありますけど、ジャンルとして括っているかと言うとそうではないですね。

YU:「こういう音楽をやりたい」ではなく、「新しい音楽を見つけたい」が大きくなってきた感じがします。

ーI Don’t Like Mondays.の洋楽マナーというのは、どういう部分に現れているんでしょう?

SHUKI:楽器ごとのフレージングや、引き算で音楽を作っていくか足し算で重ねていくかの部分で、なるべく少ない音で説得力のあるサウンドにすることがわかりやすいポイントだと思います。音が少ない分、楽器の1つ1つのフレージングの意味や価値を上げていかないといけない。そういう考え方が洋楽寄りなのかなと。

YU:今は日本の和メロ的な旋律でコード進行を考えたり、そのフレージングでどうパズルを組み合わせていくかにおもしろさを感じているので、作っていて楽しいですね。

ーKENJIさんも今のお話に頷いていましたが、いかがでしょうか?

KENJI:洋楽っぽいJ-POPを作っていくよりも、J-POPの中にエッセンスとして洋楽を落とし込んでいく、逆のフェーズに今はなっているのでまさに同じ感覚ですね。

CHOJI:メンバーそれぞれ「本来俺はこれをやりたいんだ」という気持ちもあると思うんですけど、そうではなくて1人1人が俯瞰して「I Don’t Like Mondays.はこういうものだよね」ということを意識しながら作っていて、そこは洋楽っぽいなと思ったりします。

ーI Don’t Like Mondays.は、ブラックミュージックを換骨奪胎した都会的な音楽をやられていたイメージがあるので、J-POPというマーケットを先に音楽性を考えるのは大転換ですよね。

YU:長い間洋楽畑にいた分、引き出しは多いと思います。曲を作ろうと思った時にJ-POPの引き出ししかないと、他のアーティストさんと同じような手法になりがちになっちゃうので。例えば、今の音楽性に、昔やっていたものを試したらどうなるんだろうみたいな実験的な楽しさはすごくあります。

Rolling Stone Japan 編集部

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